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雲に隠れた月は朧げに聖なる光を放つ
前章2 崩壊は肉体まで
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(なんか崖まで追い込まれてるんですけど)

もう崖の下は見える位置だ。めちゃくちゃ危ない。

(危ないし元に戻ろ‥‥‥)

俺はスピンターンをして減速。最後尾につく。それに合わせて他の人も減速。再び崖際まで押される。

(あ、死ねってこと?)

このまま落ちたらどうなるかはっきり言って分からない。とりあえず目的地は伝えられているので、落ちたらそこを目指すしかないのだが‥‥‥。

(‥‥ついてくより後から来るグループか)

俺は、後から来るグループに混ざって進むことを考える。はっきり言って死ぬ確率の方が高いのだが、何もしないで死ぬよりはマシだろう。

(‥‥聖、力を貸してくれ‥‥‥‥)

俺は心の中で最愛だった人の名前を叫ぶ。そして‥‥‥‥‥。

「アー、オチルーー」

棒読みで崖の下まで落ちる。驚いたのは先頭を滑っていたリーダーだ。慌てて止めにくるも、間に合わない。俺は崖下まで滑り出した。

(さて‥‥周りは木だらけ。死ぬなこりゃ)

早速の試練にうんざりする。俺は後からくるグループと合流することを諦め、一人でスキー場に戻ることにする。辺りは急勾配の坂だ。幸い失速することはないので、俺は来た道を戻るように滑って行く。言っておくが、スキーは初めてだ。何度も言うが死ぬ確率の方が高い。

「ん?あれは‥‥‥倒木か?」

そう、俺の目の前には倒れた木があったのだ。このまま行くと宙を舞うことになりそうである。木は良い具合に斜め上を向いている。一応斜め下(というかほぼ真横)に滑っているので速度は申し分ない。そこで俺はとんでもないことを思いついた。

「宙舞って体ごと横に回れば戻れんじゃね?」

思わず声に出す。言ってることはとんでもないのだが、まあ良いかと思う。

ちなみにここまで考えつくまで0.2秒とかだ。宙を舞うのにあと数秒もない。

「覚悟決めるか‥‥‥‥聖、力を貸してくれよ‥‥‥」

そうして俺は、宙を舞った。結構な高さが出る。幸いなことに木が近くにない開けた場所だ。回るには好都合である。

「どりゃあ!」

スキー板が重たいが、俺は無理矢理横に体ごと回る。一周、二周。

「地面は‥‥‥あれか!」

俺は先程まで通っていた地面を発見する。横回転を止め、縦の回転に以降する。何故縦なのかと言うと、縦に回転することで着地時の衝撃を和らげようと思ったからだ。なお無意識である。

ドシュッ!!

着雪する。そしてその勢いで滑走する。とんでもない速度が出るが、気にせず滑走する。


そのまま滑ること数十分。俺はようやくグループと合流ができた。リーダーが驚いたのは言うまでもない。俺はリーダーに、今回のことは双方他言無用を約束した。このことが先生にバレたら面倒になる
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