前章2 崩壊は肉体まで
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「なあ、お前好きな人いるの?」
「いやいきなりその話かよ」
‥‥ここは、とあるペンション。俺たちはスキー教室に来ているのだ。俺は寒いのが嫌いだ。それ故に最初のうちは面倒くさく思っていたのだが、いざスキーをやってみると体に当たる風が気持ちよくてすぐにやる気が出た。元々、風車を回して変身する仮面を被ったヒーローが大好きだったので、強風は大好物である。
「で、誰なんだよ」
「そうだよ、教えろよ」
(うっぜえ‥‥‥‥)
少しずつ顔に青筋が量産されていく。無意識に殺気も溢れ出る。それを見てしつこく聞いてきた人は全員口を閉じた。
「こ、こええよ」
「そ、そうだよ。そんな怒るなって」
機嫌取りに奔走するクラスメイト。手のひらくるっくるである。
「はあ‥‥‥まあ言ってもいいか」
「お、そうか」
再び元に戻る。手のひらがもげるぐらい回っている。
「‥‥‥‥まあ気になる人は、小林だな」
「あ、俺も俺も!」
「あいつ可愛いよなー!」
思った以上に激戦区である。それもそうだろう。小林は、基本男子にも女子にも優しく、顔も整っている。成績も上位に食い込むレベルだ。この中学校には一年生の中でマドンナが存在するのだが、四天王にランクインしている。ちなみにマドンナのうち二人は俺と卒業した小学校が同じだったりする。
「でもさ、今一番小林に近いのって緋鷹じゃね?」
「あ‥‥‥‥‥」
「確かにな‥‥‥」
「いやいや、俺は『好き』とは‥‥‥」
「羨ましいなあお前」
「三回死んでくれ‥‥‥」
「てか緋鷹も結構女子に告白されているよな。なんですべて振ってるんだ?」
そう、俺は入学してから今日までかなりの回数告白されているのだ。なんでかは知らないが‥‥‥‥。
「‥‥‥色々あるんだよ」
俺は、聖を殺した主犯格が女子だったことから女性恐怖症に近い症状を持っている。というか人間不信だ。普段は隠しているのだが、汚いことをしているのを見るとすぐに表に出てしまうのだ。それと同時に、以前ナイフで切られた顔の傷が醜く浮かび上がるのである。それを隠すためにも俺は、女子となるべく関わらないようにしていたのだ。小林といる時は何故か大丈夫なのだが‥‥‥。
(‥‥ほんとに、よく分からないや)
俺は一人溜息をつくのだった‥‥‥。
翌日
(今日はやけに周りからの視線が強い)
(なんなんだよもう‥‥‥)
朝から様々な人に睨まれている。非常に気分が悪い。スキーの練習をしている最中も、リフトから落とされそうになったり坂の上に立っていたら押されたり‥‥‥。
ぶっちゃけイジメだ。
ちなみに今はグループで滑走中だ。山道のコースを。
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