前章2 崩壊は肉体まで
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り一回ひねりから続けざまに前方の一回宙返り二回半ひねりをした。着地も完璧だ。これまでにない、最高の、そして最後の演技だ‥‥‥。
演技はまだまだ続く。これまでは対角線上に演技をしていたが、次は若干自分の左側に向かう。自分から見て12cn四方のフロアパネルの真ん中‥‥‥すなわち6cmぐらいを狙って助走をつける。
ダダン‥‥‥ ブチッブチッ
先ずはロンダート。そして跳び上がる。
ダンッ‥‥‥‥‥。
俺は腕を体に引きつけ、少しだけ右に顔を傾けた。自然と体がスピンを始める。
(一回‥‥‥今だ!)
俺は一回スピンを終わった時点で着地を取りに行く。突然スピンが止まるわけではないので、そのまま流れでスピンする。
景色が再度一回転し、俺は着地場所を捉えた。
ダァン!!ブチッブチッブチッブチッブチッ
見事、着ピタする。‥‥‥血が喉まで出てきてるが気にしない。
俺は一度伏せて、鞍馬で使う旋回を始めた。二周旋回したところで脚を開脚にした。まるでプロペラのように旋回する。さらに、そこから倒立にもっていった。
脚は開脚の状態のままだ。勢いがついているので、三周倒立のまま回転する。そして勢いを殺すためにブレイクスピンの要領で減速した。流れで前後開脚をする。そこから、倒立をするために体を徐々に上へと運んでいく‥‥‥‥。
ピタッ
(一‥‥‥‥二‥‥‥‥‥よし)
ゴロン
俺は二秒(それ以上だけど)静止し、前転した。そのままフロアパネルの角に向かう。
‥‥四度目の助走を開始した。ロンダート、そして跳び上がる。
何度も練習してきた、後方宙返り三回ひねりだ。
ブチッブチッブチッ
ひねる度に何かが切れる音がする。‥‥少しずつ胸の痛みがぶり返してきた。が、なるべく気にしないようにする。まだ、一つ技が残っているからだ。最後の、超大技‥‥‥。
俺は、呼吸を整えると、助走を始めた。
‥‥‥人生、最後の、大技を決めるために。
ロンダート ブチッ‥‥‥
バク転 ブチッ‥‥‥
跳び上がった
先ずは一回転
回転が終わると同時に反対側を向く
そのまま前に回り
半分ひねった
ゆっくりと、地面が近づく
周囲の音は何も聴こえない
たった一人、この空間を支配する‥‥‥‥
そんな感覚に襲われた
ダダン!!!
ビシッ!!
最後のナニカが切れた。倒れそうになる。
無理矢理堪えて、最後の挨拶をした。
「あ、りが、と、う、ござい、まし‥‥‥た」
会場が割れんばかりの拍手
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