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雲に隠れた月は朧げに聖なる光を放つ
前章2 崩壊は肉体まで
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こいつらは、弱い人を見つけてはカツアゲや暴力を繰り返しているらしい。

「ドラア!」

不良の腹にヤクザキックが見事に決まる。蹴られた不良は泡を噴いて気絶した。

「てめえ!こいつがどうなってもいいのかあ!!」

ボスらしき人が若芽にナイフを押し当ててきた。脅迫のつもりなのだろう。しかし俺は焦らない。

「若芽、股間キック」

「はーい。えい!」

場に合わない可愛らしい声が響く。

「おほぉ!?」

ボスらしき人は股間を抑えて倒れ込んだ。若芽は体操選手だ。直立の状態からでもかなりの高さまで足を上げられる。以前若芽に、

「それで股間蹴ったらヤバイよな」

という会話をしたところ、

「じゃあ練習してみるね」

と答えが返ってきたのだ。俺はそのことを思い出し、若芽に指示を出したところ見事にクリティカルヒットしたのである。

「て、てめえら‥‥‥」

涙目で俺たち、主に若芽を睨むボス(笑)。
俺は口元を三日月のように裂く。

「さっさと散歩に戻りたいからな。もう終わらせる」

そして俺はボス(笑)に向かって右足を踏み出した。ボス(笑)の立ち位置をーとした時に、俺の立ち位置がhとなるように体を向ける。俺たちはTの字の位置関係になったというわけだ。そのまま俺は、右足を軸として左足を斜め右上方に高く上げる。さらに右足も地面を蹴り、俺は宙に浮かび上がった。ちなみにここまでかなりの勢いをつけている。結果として、俺の体は結構な速度でスピンを始めることになるのだ。俺は、不良の姿を捉える。が、少し遠い。いつもなら高く上がった右足で回し蹴りを左側頭部に当てるのだが‥‥‥。距離が遠いと威力が激減してしまう。

そこで俺は、もう一回転スピンを加えた。ちなみにここまで考えつくのに一瞬もかかっていない。火事場の馬鹿力みたいなものだろう。

俺の右足は上げっぱなしだ。そのおかげでさらに遠心力がつく。一周回って、再び不良の姿を捉えた。今度は距離感バッチリだ。少し高さが落ちているが、逆に好都合だ。

俺はボス(笑)の延髄目掛けて回し蹴りを食らわす。

「セイッ!」

ボガンッ!!

物凄い音がした。俺の着地と同時に、不良のボス(笑)も前に倒れた。完全勝利である。

「コウ!やったね!」

抱きついてくる若芽。俺は思わず硬直してしまった。若芽の顔を覗き込むと、少し赤らめている‥‥‥。

(え?まさかそういうこと?)

俺は若芽の心理状態を理解してしまった。なんという胆力だろうか。

「あ、あのさ‥‥‥人目がヤバいから離れてくんね?」

「え‥‥‥?ッ!?」

周囲の状態を若芽は理解したらしい。渋々といった様子で俺から離れた。大会前日なのにこの始末だ。

(これ、本番大丈
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