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雲に隠れた月は朧げに聖なる光を放つ
前章 復讐鬼
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、腕のことか。

「よお‥‥‥久しぶりだなあ?クズ野郎共」

俺は上林の方を見て皮肉たっぷりに言う。上林の顔が真っ青になる。身体はブルブルと震えている。いい気味だ。

「な、なんだお前。いきなり舐めた態度取りやがって‥‥‥守りたいものも守れないんだもんなあ?」

「ああ、俺は何一つ守れなかったさ。聖も、あいつの親もな。それなら、あいつの最後の願いぐらい守りたいと思ってな。おかげさまで決心できたぜ?お前らを撲殺する決心がな」

これまでとは段違いの威圧感と殺意が溢れ出す。

「ッ‥‥‥‥殺れ」

子分が飛びかかってくる。俺はそれをヤクザキックで撃沈させる。

「チッ‥‥役立たずが。それならナイフで‥‥‥」

どこから取り出したのか、アーミーナイフを取り出す。そして、一直線に斬りかかってきた。俺は少しだけ食らうことにする。切っ先が頬を撫でる。血が飛び散る。まるで血が、涙のように流れる。

「はは、やるじゃねえか。ならこっちも殺るとするか」

笑顔で言う。ただし目は笑わない。次の瞬間。俺は動き始めた。

一番近くにいたイジメっ子をとりあえず大外刈りで気絶させ、その隣にいたイジメっ子をアッパーカットで撃沈する。さらに俺は動き回り、次々と気絶させる。生かしておいてあるのは最後の温情といえる。本当なら殺したいところだが、ギリギリのところで踏みとどまっているのだ。あと一つ何かしたら殺しにかかるとは思うが‥‥‥。

一応左腕は使えないので、箒を右手に持って振り回す。と、言ってもあくまで牽制程度にしか思っていない。箒を槍投げのように投げて一人を気絶させる。当たりどころが悪かったに違いない。

「く、くっそ!お前本当に緋鷹なのかよ?!」


慟哭する上林。まあ、変わりすぎてしまったかもしれない。混乱しても仕方がないだろう。


それだからといって、許すつもりは一ミリもないが。その意志を強烈に感じ取ったのか、上林は次に有り得ない行動を移した。


「う、動くなあ!ぶっ刺すぞお!!」

近くにいた、聖の友達を捕まえてナイフを首元に当てたのだ。聖の友達とは仲が良いとも悪いとも言えない関係だった。聖がいなかったら関わることもなかったと思う。

しかし、あいつは今は亡き聖の友達までも手を出すのか。俺は自分の体温が一気に下がるのを感じた。冷たくなる身体。徐々に心も冷たくなる感覚がある。

今、心にある感情は、侮辱、哀れみ。そして‥‥‥。




激烈な怒り。


俺は今まで燃えていた復讐の炎が消えていくのを感じた。そして別のモノが心を支配した。


それは、冷たい殺意。


絶対零度も生温いほどの冷たい殺意が心を支配していく。

「お前ら殺れ!」

動かなくなった俺を見
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