前章 復讐鬼
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‥‥反応がない。
ピンポーン ピンポーン
やはり反応はない。聖に貰った合鍵を使って家に入ることにする。とても静かだ。なんの音もしない。不気味な空間である。
「まさか‥‥‥‥」
思わず呟きながら聖の親を探す。
すぐに見つかった。ただし、身体は宙に浮き、首には縄がかかっていたが。近くには蹴倒したであろう椅子が転がっている。目は見開かれ、虚空を見ている。
‥‥‥‥聖のお父さんとお母さんは、首吊り自殺を遂げていた。昨日の聖のお母さんの発言はこのことだったのかと今更のように気がつく。思わず下を向く。と、そこに紙が二枚落ちていた。
「まさか‥‥‥遺書?」
そう、遺書だった。手に取り読んでみる。
『※この手紙を見つけてくれた人は、緋鷹 幸くんに渡してください。
幸くん、突然自殺してしまい、まずはごめんなさい。私たちは、あの娘がいないと生きて行けなかったのです。許してください。あの娘の最期の願いを、どうか叶えてあげてください。自殺した私が言えたことではありませんが、強く、長く生きてください。
そして、できるなら別の女の子と一緒になってください。あの娘を思ってくれるのは嬉しいですが、いつまでも引きずって欲しくないのです。幸せに、末永く暮らしてください。それが私たち家族の最後の願いです』
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ッ」
自然と涙が溢れてくる。聖が死んでも、彼女の親が死んだのを間近で見ても泣かなかったが、今、泣いた。
「ッ‥‥‥うわあああああああああああああ!ああああああああああああああああ!!」
僕の泣き声だけが虚しく響く。僕は、ようやく「聖の死」というものを理解したのだ。最愛の者の死。その家族の全滅。一度に大切なモノを多く失って、僕は壊れた。泣き叫び、怒り狂い、止めることのできない殺意が溢れてきた。
悲しみの涙は、やがて憎しみとなり流れていく。一時間もしたとき、僕はこれからのことを冷静に考え始めた。
(僕は何がしたい?)
(僕は復讐がしたい)
(あいつらは何をした?)
(僕たちを苦しめた)
(関係ない人も含めて苦しめた)
(゛俺 ゛は何をするべきだ?)
(復讐するべきだ)
(どう殺る?)
(十倍返し、ただし生かす)
「そうだ‥‥‥簡単なことじゃないか。俺はあいつらを後悔させるぐらいにボコボコにすればいいんだよ」
俺は、決意を固めた。極めてシンプルな決意。
(復讐してやる)
強く、俺は復讐を望んだ。
「復 讐 し て や る」
今度は声に出す。改めて決意するかのように。
「復讐して‥‥‥‥後悔させてやる。聖を殺したことを」
俺は
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