第三章
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「海から入ってきてね」
「そこで川に適応してですか」
「定着してね」
その様になってというのだ。
「この川に住んでいるんだよ」
「川に紛れ込んだじゃなくて」
「そうだよ」
「もう川に生物として住んでるんですね」
「そうなっているんだ」
「そんな海豹もいるんですね、それに」
オッフェンバックはさらに言った。
「海豚や鮫もですか」
「エイもだよ、こうした生物は地球や他の多くの星でもいるよ」
「そうなんですね」
「淡水生の海豹や海豚はね」
こうした生物はというのだ。
「ちゃんといるんだよ」
「じゃあヨークは」
「海にしかだね」
「海豹や海豚はいないですが」
「そうした星もあってね」
「川や湖にいる種類がいる星もですか」
「あるんだよ」
「そういうことですね」
「宇宙は広いんだ」
先生は笑ってこうも言った。
「それでだよ」
「色々な星があって」
「そうした星もあるんだよ」
「そうですか、これまで知らなかったですが」
それでもとだ、オッフェンバックは先生に話した。
「いい勉強になりました」
「それではこの水族館でね」
「この川の生きもの達をですね」
「見ていけばいいよ」
「わかりました」
オッフェンバックは頷いてだ、そうしてだった。
実際に水族館の中にいる生物達、川に棲息している海豚や足が鰭になっている亀に鮫、エイ等を見ていった。
そのうえで川にもそうした生物達がいることを知った、それは彼にとって非常に珍しく新鮮でかつ大きな出来事だった。
それで彼は川の生物達にも興味を持つ様になり海の生物達についてもそのままで。
やがて水生生物専門の生物学者になった、そうして研究を続けていって学生達にも言った。
「水の生物は面白いですよ」
「川にも海の生物がいたりするからですね」
「だからですね」
「そうです、そうしたことを学んでいきましょう」
笑顔で言うのだった、中学の頃の顔立ちはそのままで皺が増えているが背はかなり伸びている。その姿で言うが表情は少年の頃のままだった。その明るい笑顔で生徒達に言いそうして自分も学ぶのだった。
海豹が川に 完
2019・7・12
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