第一章
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海豹が川に
ベル=オッフェンバックはカナダのビックリバー星系の第二惑星であるヨークに住んでいる。この星は非常に海の面積が広くその自然が豊かなことで知られている。
オッフェンバックはずっとこの星で育っている、それも海辺にだ。
その為海豹や海豚についてはこう思っていた。
「魚は川や湖はいても」
「海豹や海豚はだな」
「海にいるんだよね」
子供の時に父にこう話した。
「そうだよね」
「ああ、そうだ」
その通りだとだ、父は息子に答えた。
「そうした生きものは海にいるからな」
「そうだよね」
「川にいるのはな」
そちらはというと。
「鰐とかだ」
「鰐は川や湖にいて」
「それで海豹や海豚はな」
こうした生きものはというのだ。
「海にいるんだ」
「だから海に行けば」
「そうした生きものに出会えるからな」
「そうだよね、じゃあね」
オッフェンバックは父に笑顔で話した。
「僕これからも海でね」
「海豹や海豚を見るか」
「そうしたいよ」
水族館で父に話した、彼は子供の頃海や水族館に行ってそこで海豹や海豚といった生物達を見ることを楽しみにしていた。
それは中学生の時も変わらなかった、だが。
中学二年の時だ、彼が通っていた中学の遠足でビッグリバー星系の第四惑星であるハンプシャーに行った。この惑星はヨークとは正反対に湖や川が多く淡水生の生物やそちらの自然が豊かなことで知られていた。
オッフェンバックは最初その場所を見て海だと思った、だが先生に実はと言われて仰天して言った。
「ここが川ですか」
「端が見えないけれどね」
それでもとだ、先生であるジム=パーカーは彼に話した。パーカーは背の高い黒い目の黒人で人懐っこい顔をしている。赤毛の神は縮れている。
「そうなんだよ」
「嘘みたいですね」
オッフェンバックは自分の丸眼鏡に手を当てて言った、彼は背は一六七程度で黒髪に赤いものが混ざっている、アジア系の顔だが肌はコーカロイドだ。そして目は青い。如何にも連合市民といった混血が見られる。
「それはまた」
「ヨークにこんな大きな川はないからね」
「そうですよね」
「一番大きな川でもね」
「向こう岸が見えないとか」
「この川は幅が狭いところでも五十キロもあるんだよ」
「五十キロ、ですか」
その広さにだ、オッフェンバックは唖然となった。
「そんな幅なんですか」
「一番広いところで二百キロはあるかな」
「そこまで広いと」
それこそとだ、オッフェンバックは思わずこう言った。
「湖みたいですね」
「流域面積も凄くてね」
「どれだけですか?」
「カナダの皮で屈指で」
それでというのだ。
「地球のナイル川の十五倍はあるんだよ」
「地球で一
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