第二章
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「今女湯、この露天風呂のそこ見たらな」
「女の子の裸見られるか」
「そうなるよな」
「見たら捕まるぞ」
渡辺は工藤にすぐにこう突っ込みを入れた。
「本当にな」
「それはわかってるよ、けれどな」
「女湯にはか」
「そうしたこと思うよな」
「それはな、ただな」
「ただ?」
「女湯とか覗くものじゃないだろ」
渡辺の声はあくまで冷静なものだった。
「それこそな」
「女の子が裸でいてもか」
「お前ここ見てどう思うんだよ」
渡辺は今度は今自分達がいる湯のことを話した。
「ここのな」
「ここか?」
「俺達以外にもその辺りの兄ちゃんやおっさんもいるな」
「爺さんもな」
「風呂の中ってそうだろ」
「ああ、温泉でもスーパー銭湯でもな」
「そうだろ、それは男湯だけじゃないんだよ」
ここだけのことではないというのだ。
「女湯だってだろ」
「おばさんや婆さんもいるか」
「そうした人達の裸見たいか?」
「そう言われるとな」
どうかとだ、工藤もすぐに答えた。
「やっぱりな」
「見たくないだろ」
「ああ、若い娘の裸もな」
「その若い娘の裸だってな、色々だぜ」
「色々?」
「女の子達だけで裸だとな」
それこそというのだ。
「あけっぴろげになってムダ毛の処理だの何だのってな」
「腋とか脛とかか」
「それで話すこともあけっぴろげで。おまけに」
渡辺の話は続いた。
「身体の傷とかなコンプレックスの部分とか同性には見せられてもな」
「男にはか」
「見せられないのあるだろ」
「そう言われるとな」
「そうした秘密知りたいか?」
「いや」
どうかとだ、真剣な顔でだった。
工藤は渡部に湯舟の中で答えた。
「そう言われるとな」
「難儀だろ」
「ああ、そういうの何気なく見て真実知るってな」
「そんなもん見るもんじゃないんだよ、本気で好きな人の秘密なら受け入れられてもな」
それでもというのだ。
「何でもない相手を軽い気持ちで見てな」
「覗いてな」
「知ってもな」
「重いもの背負うだけか」
「だからな」
それでというのだ。
「女湯ってのはアニメとか小説じゃいい様に描かれてるけれどな」
「漫画とかゲームでもな」
「これはシャワー室でもだけれどな」
つまり女の子が裸になる場所はというのだ。
「それはな」
「行くべきじゃないか」
「ああ」
それこそというのだ。
「何があってもな」
「そんなものか、しかしお前詳しいな」
工藤は渡辺の話をここまで聞いてから彼に顔を向けて尋ねた。
「何でなんだよ」
「親戚がお風呂屋さんでな」
「お風呂屋さんか」
「その店昔ながらの番台でな」
風呂屋でお金を受け取る場所の話もした。
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