第二章
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「それこそな」
「だからですね」
「これからもどんどんやっていくぞ」
「社会の木鐸としての仕事をですね」
「ああ、好き放題な」
こう筑紫に言うのだった。
「やっていくぞ」
「わかりました」
筑紫は大貝のその言葉に笑いながら応えてだった、彼もまた美酒に馳走を楽しんだ。そして数日後だった。
大貝は政治家の料亭での会合のことを記事にして笑って話した。
「政治家ってのはな」
「庶民感覚ですね」
「それがないと駄目だろ」
こう筑紫に言うのだった。
「そうだろ」
「その通りですよね」
筑紫もそれは同意だった。
「庶民のことがわからないと」
「国民は庶民だからな」
「雲の上にいる様じゃ」
「わかるか」
庶民のことがというのだ。
「いつも料亭に行ってそこで政治の話とかな」
「言語道断ですよね」
「美味いもの飲んで食ってな」
「そうして談合とか野合とかですね」
「そんなことばかり話してるから政治は駄目になるんだ」
「その通りですね」
「料亭政治反対だ」
大貝はこれまた笑って言った。
「政治家も官僚も大企業の経営者もだ」
「全員ですね」
「料亭なんか行くな」
「庶民のことを考えろですね」
「そうだ、それで今夜はな」
ここでだ、大貝はこんなことも言った。
「今夜もか、赤坂に行ってな」
「そうしてですね」
「そこで総連の人と会うからな」
「それで取材ですね」
「今度あの国に行くからな」
それでというのだ。
「前以ての打ち合わせでな」
「あっちに行きますね」
「そしてな」
そのうえでというのだ。
「あの国に行く時収容所とかの話はな」
「言論弾圧とかですね」
「見てもな」
それでもというのだ。
「見えていないんだよ」
「あの国は民主主義の国ですよね」
「民主主義人民共和国だろ」
大貝はその国の名をそのまま言った。
「だからな」
「収容所とか言論弾圧とか」
「そうした話はな」
「一切ですね」
「するなよ、見ても聞いてもな」
そうしたものの、というのだ。
「それでもな」
「知らない振りをすることですね」
「そうだ、いいな」
「わかりました」
彼も頷いてだ、それでだった。
二人はその夜に赤坂に行ってそのうえでだった、料亭で総連の者と実際に会った。勿論美酒や馳走を楽しみながら。
大貝はそうした取材を長年続けていた、だが次第に世の中は変わりネットが続けていた、それでだった。
大貝達が勤めている新聞社の報道の在り方が次第に問題になっていっていた、それでこのことが政治家や官僚達の耳に入っていた。
勿論大企業の経営者達も同じだ、ある企業の社長は秘書にこんなことを言った。
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