第二章
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「するなよ」
「俺達の区でもですね」
「都の方もな」
つまり都庁でもというのだ。
「たまに凄腕のそうした仕事出来る人雇ってな」
「そうしてですか」
「中の状況とか戸籍とかな」
「調べてるんですね」
「ああ、それで中にどんな奴がいるか把握してるけれどな」
「実際碌でもない奴ばかりですか」
「凶悪犯だった奴とか人間の屑とかな」
そうした、というのだ。
「碌でもない奴ばかり集まってるんだよ」
「そうしたマンションですか」
「真ん中が吹き抜けみたいになっててそこに向かって四方から廊下と部屋が向かい合っていて一階にやっぱり碌でもない奴がやってるコンビニとか店があってな」
「その店でもの買って生活してますか」
「ああ、水道とかガスの修理やもそこにあるからな」
マンションの一階にというのだ。
「そこで生活してるけどな、もう警察もいつも警戒していてな」
「そこにいる連中がマンションの外に出ない様にですか」
「してる様な場所だよ」
「聞けば聞く程とんでもないところですね」
「日本にもそうした場所があってな」
達也は唯和に険しい顔で話した。
「絶対にだよ」
「中に入ったら駄目ですね」
「近寄ることもな、俺達の区にあってもな」
「関わるな、ですか」
「都庁の方もそう言ってて本当にたまに人を送る位だからな」
そうした仕事を出来る人間を雇ってというのだ。
「絶対に近寄るな、そのうちな」
「そのうちっていいますと」
「誰もいなくなるからな」
「あの、屑が集まる場所ですよね」
唯和は達也の今の言葉に尋ねた。
「そうですよね」
「何処からかな」
「はい、それでもですか」
「そのうちな」
「誰もいなくなりますか」
「そうなるさ」
「それはどうしてですか?」
唯和は達也に再び問うた。
「自然と集まってくるのに」
「それはわかるさ、おいおいな」
「おいおいですか」
「ああ、そんな屑しかいない場所がどうなるか」
「そのことがですか」
「わかりからな、見ておけよ」
達也は若い唯和に言った、そうして彼にも他の区役所の職員にもそのマンションには近寄るなと言った。
マンションは区の一角にあったがその近くは東京都だというのに家も店もなくそれこそホームレスさえ近寄らなかった。
ホームレス達もだ、そのマンションを見てこう話していた。
「誰があんなところに入るか」
「近寄りもするか」
「屑しかいない場所だぞ」
「人間ですらなくなっている奴等のいる場所だ」
「俺達は家がないだけだ」
「犯罪もしてないんだぞ」
そこが違うというのだ。
「あの連中は違うからな」
「人間でなくなってる連中の吹き溜まりだ」
「そんなところ行くか」
「近寄ってたまるか」
こう言って彼等も雨露を
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