第一章
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プロイセン騎兵
プロイセン軍の強さは欧州中に知れ渡っていた、だがその中でだった。
騎兵についてはポーランド出身のフランス軍の騎兵将校であるコヴァーチ=イフシェンコフが常勝の英雄であると言われているナポレオン=ボナパルトにある時プロイセン軍について問われた時にこう答えた。
「プロイセン軍の弱点です」
「貴官もそう思うか」
「はい、あの国の軍隊は確かに強いですが」
「それでもだな」
「それは歩兵と砲兵、よく訓練された彼等の強さで」
「騎兵はだな」
「彼等もよく訓練されています」
このことは事実だというのだ。
「そして武器もいいです」
「戦術は古く老将揃いだが」
その為ナポレオンはプロイセン軍には勝ってきている、だがそれでも決して敵である彼等を侮っていないのだ。
それでだ、彼等の弱点をよく認識していても強い部分は認めて言うのだった。
「しかしだ」
「はい、それでもです」
「確かに強い、訓練もよくされていてな」
「フリードリヒ大王以来の精鋭です」
「それはその通りだな、だが」
「騎兵は弱いです」
プロイセン軍の中ではというのだ。
「ですから」
「彼等と戦う時にはな」
「騎兵を狙うべきです」
こう言うのだった、そして実際にだった。
ナポレオンはプロイセン軍と戦う時は騎兵を集中的に攻撃しろと部下達に命じていた。そのことを聞いてだった。
他ならぬプロイセン軍の騎兵達は怒りを感じた、それで言うのだった。
「我等が弱点というのか」
「プロイセン軍の」
「我等がどれだけ訓練をしていると思っている」
「そして武勲を挙げてきたと思っている」
「オーストリアにも勝った、ロシアにも勝った」
「スウェーデンにも勝ったのだぞ」
「どの国にも負けなかったのだぞ」
フリードリヒ大王の頃の輝かしい武勲の話をするのだった。
「オーストリア継承戦争、七年戦争に勝ってきた」
「その中で我々騎兵がどんな働きをしたと思っている」
「コルシカの成り上がりが何を言うか」
「少し勝った位でいい気になるな」
「次に勝つのは我々だ」
「我々が勝つ」
騎兵隊の者達は口々に言ってそうしてだった、次のフランス軍との戦いでは自分達が決定的な武勲を挙げ自分達の強さを証明しナポレオンの言葉を否定しようと決意した。そしてその機会はすぐに来た。
プロイセンは欧州の他の国々と共にフランスに宣戦布告しフランスに向けて大軍を動かした、このことを知ってだった。
ナポレオンは軍を動かす前に部下の者達に落ち着いた声で告げた。
「いつも言っている通りだ」
「はい、プロイセン軍の弱点は騎兵ですね」
「騎兵隊ですね」
「彼等をまず攻撃する」
「そうしますね」
「そうだ、そうしてだ」
その様
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