第一章
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ビルの解体
八条解体工業は八条グループの企業内でビル等の解体を受け持っている、今回もそうした仕事を受け持っていた。
そして今回もそうした仕事だった、だが。
今回の仕事について現場監督の山川幸二は彼が勤務している関東支店の支店長である内田貞治にこう言った。
「今回のビル工事ですが」
「ああ、どうしたんだ?」
「何かこれまで通りにしたらですね」
内田に考える顔で言うのだった、癖がある短くしていても目立つ天然パーマの髪の毛に細い顔立ちをしている。目も細めで穏やかな光を発している。肉体労働をしているうえに日課でジムに通っているので実に引き締まった身体をしていてしかも長身だ。
その彼がだ、内だの強い目の光に頬がこけてい丸い鱈子唇の顔を見つつ言うのだった。
「何か進歩がなくて」
「仕事にも面白みがないか」
「そう思いますので」
だからだというのだ。
「趣向を変えてです」
「面白いものにしたいか」
「どうでしょうか」
「そうだな、正直なところな」
どうかとだ、内田も山川に答えた。
「最近俺も皆の仕事がマンネリでな」
「それでですね」
「もっと色々とやってな」
「メリハリがある方がいいとですね」
「思っていたところだ」
こい山川に話した。
「本当にな、だったらな」
「今回は、ですね」
「お前の言う通りにしていこう」
こう山川に言った。
「そうしたら皆もやる気が出るしな」
「そうですしね」
「それでやってみるか、細かいところはお前に任せるからな」
現場監督である彼にというのだ。
「宜しく頼むな」
「そうさせてもらいます」
山川は内田に笑顔で応えた、そうしてだった。
仕事の現場であるこれから解体するビルのところに行った、そのうえで。
そうしてだ、スタッフ達に言った。
「特撮みたいにいくか」
「特撮?」
「特撮っていいますと」
「だから特撮のドラマか映画みたいにな」
そうした感じでとだ、内田は若いスタッフ達に話した。全員作業服に安全靴そしてヘルメットという安全第一の身なりだ。
「やっていくぞ」
「あの」
大柄でしっかりした髭を生やした男が言ってきた、松中周五郎といって力仕事を得意としている。
「戦隊っていうと変身したり機械を使って」
「戦うな」
「敵と」
「その敵はわかるな」
山川は松中に笑って答えた。
「お前も」
「これから解体するビルですね」
「そうだ、それをな」
「敵とみなしてですか」
「それぞれの機械を使ってな」
そうしてというのだ、
「チームを組んでな」
「そしてですか」
「ああ、派手に働いていくぞ」
「そうするんですね」
「俺達は光の巨人に乗ったりバイクには乗らないがな」
そうし
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