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センター
第一章
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 そのアイドルグループは今や国民的を通り越して日本が世界に誇ると言ってもいいアイドルグループになっていた。
 四十数人が一つの単位の様になっていて全国あ他国にに幾つもグループがありファンとの距離が近いことでも知られていた。
 そのグループに入ってだ、井上由紀はこんなことを言った。
「まさかね」
「あのグループに入られるなんてっていうのね」
「思ってませんでした」
 マネージャーの西田真理子に答えた、見れば蒲鉾型の垂れ目で薄めの眉はまっすぐである。色白の細面で顎の先が尖っている。黒髪を長く伸ばしていて背は一六五程ある。
「本当に」
「私はいけるって思ってたから」
 真理子はその雪に笑って答えた、黒髪を短くしていて顔立ちは中性的な感じだ。背は高くズボンとスーツがよく似合っている。
「由紀ちゃんならってね」
「グループにですか」
「そうよ、伊達にうちの事務所のオーディションに受かってないわよ」
 実は由紀の所属事務所は芸能界では大手プロダクションとして知られている、昔から芸能界ではかなりの力を持っていて有名なタレントも多く所属しているのだ。
「オーディションは確かな娘でないとね」
「合格しなくて」
「そう、それでね」
「私はそのオーディションに合格してるからですか」
「あのグループのオーディションにもね」
 そちらにもというのだ。
「合格するってね」
「マネージャーは思われていたんですか」
「そうよ」
 こう由紀に答えた。
「私はね」
「そうですか」
「由紀ちゃんは顔とスタイルだけじゃないから」
 この二つに留まらないというのだ。
「歌も踊りもいいし演技も出来るから」
「だからですか」
「あのグループにも入られるって思ってたわ。ただ」
 ここ真理子は由紀にこうも言った、今二人は仕事に向かう途中であり真理子が車を運転していて由紀は後部座席にいる。そのうえで話をしているのだ。
「問題はこれからよ」
「あのグループで、ですね」
「どうなるかよ」
 このことが大事だというのだ。
「由紀ちゃんがね」
「あのグループは人が多いですからね」
「何十人よ、もっと言えばグループが幾つもあるから」
「三百人いますよね」
「学校一つ分はあるでしょ」
「そうですよね」
 由紀もその通りだと答えた。
「本当に」
「その中でどうなるかよ」
「普通のメンバーでいるか」
「トップになるかよ」
 それはというのだ。
「どれかよ」
「そして芸能界は、ですね」
「そう、やっぱりね」
 何といってもとだ、真理子は由紀に答えた。
「競争社会でね」
「這い上がっていくものですね」
「実力と運でね」
「運はともかくとして」
「八条芸能の方針は知ってるでしょ」
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