第7章:神界大戦
第225話「もう一度会いたい」
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女のその力は、私達夜の一族よりも遥かに人から外れたモノになるわ。……呑まれるわよ」
「……それは、誰よりも理解しています。でも、神を倒すには、そんな人から外れた力を手にしないと到底できません」
話は終わり、緋雪は帰ろうとする。
忍がそんな緋雪に最後の忠告をするが、緋雪は当然とばかりに言い切る。
「……そう」
「それに……」
一拍置いて、緋雪は振り返る。
そして、柔らかく微笑んだ。
「……心は、人であり続けますから」
「……全く、本当に緋雪ちゃんは優輝君の事が好きなのね」
「自慢のお兄ちゃんですから!」
ただ諦めたくないだけじゃない。
兄が託してくれたから、信じてくれたから緋雪は立ち直れた。
だから、例えリスクがあろうとその手段を取った。
「“例え、体が化物になっても、心は人で在り続ける”……うん、分かってるよお兄ちゃん。……お兄ちゃんに言われた事、忘れてないよ」
帰路。緋雪はシュネーだった頃を思い返していた。
忍に言った言葉も、かつてムートに言われた事だ。
「……だから、私は使いこなしてみせるよ。生物兵器としてではなく、お兄ちゃんが大好きな志導緋雪として、忌避したあの力を」
何度も励まされた。
何度も助けられた。
何度も暴走した所を止めてくれた。
緋雪にとって、未だに恩を返しきれていないのだ。
「……今度は、私が助ける番だよ。お兄ちゃん……!」
決意を改め、道を照らす夕日に向かって拳を握る。
「(お兄ちゃんが助からない未来。全てが終わってしまう未来。……そんなの、私が破壊してみせる。そのためなら、私は限界を超える。破壊してみせる……!)」
紅く輝く瞳が、夕日を貫く。
手が届かなかった存在に、今度は届かせると誓うように。
今度こそ、倒して見せると、力強く緋雪は睨んだ。
「―――待っててね、お兄ちゃん………!!」
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