第7章:神界大戦
第225話「もう一度会いたい」
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とはいえ、敗北の経験がさらに足を引っ張る。
そんな状態で、精神性において相手を上回る事など不可能だ。
「(……せめて、肉体的に強くならないと)」
精神の余裕は直接的な戦闘力で差をつける事でも生む事が出来る。
そのため、改めて鍛えようと緋雪は結論を出した。
「(結局、この結論に行き着いちゃったな。……でも、単純なら分かりやすい。それに、どうすればいいか片鱗だけでもわかったのなら、御の字!)」
笑みを浮かべ、緋雪は拳と掌をぶつける。
“バシッ”と小気味いい音を立て、改めて気合を入れる。
「さて、鍛えるにしても頭打ちだし、この前までの特訓方法じゃ“足りない”。何か、別の方法を……」
そこまで言って、ふと緋雪の脳裏にある事が過る。
「……狂気」
そう。緋雪が克服したはずの狂気。
その狂気を再起させられて敗北した戦闘を思い出した。
「(……そうだ。克服した……つもりだった。でも、飽くまでそれは狂気に呑まれないように制御できるようにしただけ。……そんなの、“克服した”とは言えない)」
とこよのおかげで、緋雪は自分から起こさない限り狂気に呑まれなくなった。
だが、イコール狂気を克服した訳ではなかった。
無理矢理狂気を呼び起こされれば、先の敗北のように呑まれてしまう。
「(狂気を受け入れて、その上で完全に制御できないと、“克服”じゃない。何より、このままだともう一度あいつと戦ったらまた負けてしまう)」
緋雪が戦った神は“狂気の性質”を持つ。
狂気の素質があれば、問答無用でその狂気を呼び起こしてしまう。
緋雪が負けたのも、抑えていた狂気を爆発させられたからだ。
故に、狂気に呑まれないようにするよりも、狂気そのものを何とかするしかない。
「(吸血鬼……生物兵器。……私は……)」
狂気に満たされた忌々しい記憶を思い出す。
生物兵器として改造された体は、血を欲す。
それを完全に抑えていたというのに、それではダメだと理解させられた。
「(でも……)」
不安はある。制御出来ずに、結局狂王として力を振りまいてしまう不安が。
だが同時に、受け入れない限り勝ちはないという事も理解していた。
相反する考えが渦巻き、緋雪を悩ませる。
「(……シュネーの時の力が、完全に制御出来れば)」
そこへ、もう一つ。緋雪の決断を後押しする情報を思い出す。
まだシュネーだった時、生物兵器としての全盛期の時の事。
「(今の私は、力を抑えている状態。“志導緋雪”としては全力でも、“狂王”としては全力じゃない。……その力は暴走と同義だから)」
当時の力は、制御出来ていないために大雑把だったが、今の緋雪
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