第7章:神界大戦
第225話「もう一度会いたい」
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てない相手”として深く刻まれる。
あれほどの規格外の相手を、どうすれば倒せるのかと、考えれば考える程、そのどうしようもなさに絶望する。
「…………でも……」
だが、そうだとしても。
「……お兄ちゃんが、私達を信じて、託した……」
優輝が信じ、後を託した。
それだけでよかった。それだけで、緋雪が立ち上がる理由に出来る。
「……いつまでもくよくよしてたら、笑われるよね」
涙を拭い、顔を上げる。
まだ潤んではいたが、それでもその瞳は決意に満ちていた。
「……緋雪?」
「雪ちゃん……?」
「立ち止まってもいい。後悔する事も、悲しみに暮れるのもいい。だけど、それをいつまでも引きずらない。前を向いて、少しずつでも歩いていく」
かつて、自分が死んだ時のために、優輝へ送ったメッセージ。
それを、今度は自分に言い聞かせるように緋雪は呟く。
沈み込んだ心を救い上げるように、胸の前で拳を握る。
「……私は」
振り返り、椿と葵を見据える。
二人に宣言するように、自ら誓いを立てるように、一泊を置く。
「私は、もう一度会いたい……!お兄ちゃんに……!だから、だから!前を向いて、少しずつ……でも、決して!諦めない……!」
未だ、緋雪の心はボロボロだ。
だが、“それでも”と、緋雪は決意を口にする。
「それに、お父さんとお母さんの仇も、絶対に取る……!後を託された、私達が倒すように、お兄ちゃんに言われた、信じて託してくれた。だから!」
「……緋雪」
それは最早、決意の表明ではない。
絶望に対し、負けないと、まだ折れないと、今も足掻いているのだ。
意地を張って、震える心を押さえつけて、折れそうな膝を曲げずに立ち上がった。
そんな緋雪の姿を見て、椿と葵は目を見開いた。
……二人の涙は、いつの間にか引っ込んでいた。
「……そう。そうね……託してくれたんだもの。まだ、足掻けるのよね」
「まだ挽回できる。だというのに、ここで立ち止まっていたら、それこそ優ちゃんに託された“可能性”が無駄になるよね」
失ったものは取り返せない。
だが、まだ失っていないのなら、取り返せる。
だからこそ、立ち止まってはいけないと、椿と葵は奮い立つ。
「私、とこよ達を手伝ってくるわ」
「あたしも」
「……じゃあ、ここからは別行動だね」
早速やれる事をやるために、椿と葵は行動する。
それを見て、緋雪は別行動すると告げる。
「緋雪はどうするの?」
「別のアプローチで何か出来ないか探してみるよ」
椿と葵を見送り、緋雪は一人になる。
ソファに座り、緋雪は自分の掌を見つめる。
「(物理的な
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