第7章:神界大戦
第225話「もう一度会いたい」
[2/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
。
寂しく、電気の付いていない廊下が緋雪達を出迎えた。
「………」
何も喋らないまま、緋雪はリビングへと向かう。
電気が付けられ、そのままソファに座り込んだ。
「……静か、だね……」
外は大門の後処理や、管理局の存在によって静かとは言えない程度には騒々しい。
だが、家の中はまるで隔絶されたかのように静かだった。
「……お兄ちゃん、お母さん、お父さん……」
椿と葵はいる。
だが、改めて優輝達がいないと実感させられて、緋雪の胸に悲しみがこみ上げる。
「……ぁ……」
ふと、壁際の棚の上に立てかけてある写真が目に入る。
「………」
写真の数は全部で四つ。
幼い頃、優輝が小学校に入学した際の、家族四人で撮った物。
両親が行方不明になった後の、緋雪の入学記念に優輝と二人だけで撮った物。
椿と葵が家族になり、その記念に四人で撮った物。
緋雪が死に、両親が戻って来た後の、優輝の中学入学の際に五人で撮った物。
どれもが、大切な思い出を表した写真だ。
「……小さい頃しか、家族が揃った事、ないんだね……」
優輝が小学校に入学した際の写真以外、家族が揃っている写真がなかった。
優輝と緋雪の二人だけの写真に至っては、少し無理して笑顔を作っている。
いつも誰かが欠けている。そんな写真の数々に、緋雪の胸が締め付けられる。
「皆で笑顔で写真を撮る事は……もう、ないんだね……」
涙が零れる。言いようのない寂しさが緋雪を苛む。
両親と大切な兄を、緋雪は目の前で続けて喪った。
その事実が、緋雪にとってどうしようもなく辛かった。
「緋雪……」
「雪ちゃん……」
それを、椿と葵は見ている事しか出来ない。
「(また、喪った。大切な人を)」
「(あたし達は、また無力だった)」
椿と葵も、緋雪とはまた違った辛さを味わっていた。
とこよを喪った時と同じように、また喪ったのだと。
しかも、今度は自分達の目の前で、だ。
「っ……ぅ、ぅ……!」
「なん、で。あたし達は……!」
「今度こそ……今度こそって思っていたのに……!」
三人の嗚咽が、リビングに響く。
敗北して、大切な人を再び喪い、三人の心は限界だった。
アースラにいた時は耐えていても、家に戻り、改めて現実を直視した事で、もう耐える事な出来るはずがなかった。
「……“可能性”を、託す……」
絶望の最中、緋雪は思い返すように椿から伝えられた言葉を呟く。
「私達が、倒す……」
最後に託された。
その事実が、緋雪の心に浸透する。
「……そんなの、出来っこないよ……」
一度敗北した経験は、“勝
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ