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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第1話:そうして彼は希望を見つけた
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れない。
だが肝心の奏は、そんな彼の言葉に何よりもまず怒りを感じた。
そして彼女は、何も言わず彼を葬式の場から引きずり出すと、会場の外の人気のないところに彼を引っ張りこう告げたのだ。
「馬鹿野郎ッ!? 何でお前があたしの心配するんだよッ!?」
「か、奏?」
「そうじゃない……そうじゃないだろ!? 今一番辛いのはお前だろうがッ!? そのお前が、何であたしの心配するんだよッ!?」
奏は目に涙を溜めながら、鬼気迫る表情で颯人に怒鳴り散らす。そうでもしないと自分自身親しい人物を失った悲しみでまともに言葉を、気持ちを伝えられないし、何より彼には伝わらないと思ったからだ。
「辛いのはお前だろ? 悲しいのはお前なんだろ? 不安なのは────1人になるのを怖がっているのはお前の筈だろうが」
颯人の心に、奏の言葉が次々と突き刺さる。
それは、心を傷つけるようなものではない。彼の心を覆いつくそうとしている、間違った心の殻を取り除く為の刃だった。
彼の事を思う奏の心が、言葉の刃となって彼の胸の内に押し込まれそうになった悲しみを押さえつける殻を、鎖を断ち切っていく。
「逆だよ。いなくならないのはあたしの方だ。あたしはお前の傍にいる。あたしがお前の希望になってやる。だから…………だから、今は思いっきり泣いてやれよ。そんで…………ぐすっ、明日から、またあたしに悪戯の一つでも仕掛けて見ろよッ!?」
希望になる…………その言葉が決定打となった。
それまで押し留めていた涙が颯人の両眼から溢れ出し、抑えの利かなくなった悲しみが暴れ出す。
「う……うわぁぁぁぁぁぁぁっ!? 父さぁぁぁんっ!? 母さぁぁぁんっ!?」
「う、う……あぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!?」
恥も外聞もなく、奏に抱き着き大声を上げて泣く颯人。それに釣られてか、それとも単に我慢の限界に達しただけか、奏も彼を抱きしめながら歳相応に泣いた。
唐突に両親を失い、悲しみに暮れる颯人。その彼の中でこの日、奏と言う少女に対する想いが決定的に変化したのだった。
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