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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第1話:そうして彼は希望を見つけた
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ならぬ颯人だったのだ。
颯人は奏の前で、彼女を虐めようとする彼らに告げた。
「悪いのは奏じゃねぇ! ただ俺の手品が凄かっただけだ! 文句があるなら、まずは俺の手品を喰らってからにしろ!!」
そう言うと彼は、奏を虐めの標的にしようとした男子のポケットの中などに手品を使ってゴキブリやクモを忍ばせるなどして全員を泣かせてみせた。
その事で彼は再び教員から盛大に叱られることとなったのだが、一方で彼の両親はこれに関して彼を責めなかった。
褒めたりすることもしなかったが、少なくとも非難はしなかった。
それからだ、颯人と奏が行動を共にするようになったのは。
彼らは時に喧嘩をし、時に互いに悪戯を仕掛け合い、そして時には共に笑いあった。
奏が暇を持て余した時は新しい手品のテストとして覚えたての手品を披露し、彼と接することによって手品に対して目が肥えた奏がそれを品評するということもあった。
逆に、手品がなかなか上手くいかず落ち込んだりした時は、奏が彼を元気付けたことも一度や二度ではない。
彼らは共に良き友として付き合っていた。
そんな時だ、颯人の両親が命を落としたのは。
「交通事故だって?」
「そうらしい。ただガソリンに派手に引火したのか、車含めて周囲は木っ端微塵。ご両親の遺体すら残らなかったって」
それは本当に突然だった。偶然颯人が風邪で寝込んでいる時、車で外出していた彼の両親が事故に遭い命を落としたのだ。その事故現場は凄惨を極め、遺体と呼べるものは一つも残らなかったらしい。
ノイズと言う人間の体を炭の塵に変え殺す怪物が出現するようになってから、遺体の無い空の棺を用いての葬式は決して珍しくはなくなったが、棺が空になる原因が交通事故と言うのはこの時世においても珍しいことであった。
葬式の日、颯人は涙一つ流すことはなく空の棺を空虚な目で見つめていた。
そんな彼の隣には、当然の如く奏が居た。彼女は心配していたのだ。自分の与り知らぬ所で両親を一瞬で失ってしまった彼が、無理をしているのではないかと。
少しでも彼の悲しみを和らげようとしてか、奏はそっと彼の手を握った。
だが次の瞬間、彼の口から出たのは奏が予想もしていなかった言葉だった。
「大丈夫。大丈夫だよ、奏」
「え?」
「何処にも…………俺は何処にもいかないから」
恐らく、颯人は奏の行動を次は彼が居なくなってしまうのではないかと危惧してのものと勘違いしたのだろう。実際、家が近所だったこともあって家族ぐるみで付き合いがあった。
彼の両親も、奏の事を実の娘の様に可愛がっていた。奏の方も彼の両親と非常に良好な関係を築いていた。故に、そんな勘違いをしてしまったのかもし
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