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戦闘携帯のラストリゾート
快刀乱麻を断つ
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体を倒すとは思わなかったけど・・・・・・とんだプレイングミスだったね」
「どういう意味?」
「『破壊光線』は強力だけど、その後反動で動けなくなるデメリットがある。そしてポリゴンZの体力はわずか・・・・・・これで決まりだ、『リーフブレード』!」

 サフィールの言葉通り、動けないポリゴンZをジュカインが一閃する。当然持ちこたえる体力なんてないから、赤と青のからだがネジの止まったゼンマイ人形みたいに倒れた。
 
「さあ、これで緒戦はオレの勝ちだね。GX技自体知らなかったんだから無理もないけど、次はお互い万全でミスなく──」

 ・・・・・・少し安心する。バトルが終わったサフィールは始まる前の彼と同じ、気さくな男の人だ。負けた相手をバカにしたり、弱いことに腹を立てる人じゃない。
 だけどわたしは、怪盗としてそう簡単に負けるわけにはいかないから・・・・・・できるだけ冷静を保ったまま、こう言う。
  
「それはどうかしら?」
「何言ってるのさ、君のポケモンはもう全員戦闘不能になったじゃないか」
「まだわたしのポケモンは、残ってる!出てきてグソクムシャ!」
「なっ!?」
 

 ボールをタッチするとフィールドにグソクムシャが現れる。特性『新緑』によって威力の上がった『リーフストーム』に吹き飛ばされて体力はほとんどない。でもまだ戦う力は残ってる。

「さっきはごめん、ハンデみたいに思われるなら一撃で決める!『であいがしら』!」
「させない、『こらえる』!」

 グソクムシャの場に出たときだけ使える先制の強烈な突進、それをジュカインは同じく相手の行動の先をとれ、わずかに体力を残して耐える技で応える。


「もうイバンの実はない! だから・・・・・・『アクアジェット』で終わりよ!」

 
 先制に継ぐ先制攻撃。わたしの最も得意な戦法で、ジュカインの体力を削りきった。倒れたジュカインが自動的に消え、決着がつく。
 
「どうして・・・・・・」 
「『きあいのタスキ』を持たせてた。『吸血』でグソクムシャの体力は全回復してたから、その効果は発揮できる」
「でも、あのときは普通の交代とは違った。ポケモンが自分から・・・・・・」
「グソクムシャの特性は『危機回避』。体力が半分以下になったとき、瀕死になったのと同じように自分からボールに戻って交代する」
「・・・・・・!」

 直接表情は見えないけれど、敗因を追求するサフィールの声はやっぱりとても真剣だ。 バトルの前や勝ったと思った後の彼の気楽さ、ちょっと抜けた雰囲気とは、別人みたい。

「・・・・・・・・・・・・うん、オレの負けだよ。知らないGX技を見ればもう少し同様するかと思ったけど、クールな怪盗の噂に偽りはなかったみたいだね」

 でも、本番は負けないよ。
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