第21話 商店街の喫茶店が、こんなに修羅場なわけがない
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あんなごっついデザート注文してたのかこいつら……。
「はい龍太、あ〜ん」
すると何を血迷ったのか、矢村はスプーンでパフェのてっぺんをすくい取ると、俺の口元まで運んできやがった。こんな公共の場で何をしようと!?
「ちょ、ちょっと矢村さん!? なに考えてるのよ! ここ人前よ!?」
救芽井も矢村の暴挙に反発の声を上げる。そーだそーだ、嬉しいけど恥ずかし過ぎるぞ! ……つーか珍しく救芽井と意見が一致したな、今。
「人前やからこそ、意味があるんよ。ここでちょおいと、見せ付けとかんとなぁ?」
矢村はなにやら挑発的な顔で救芽井を見ている。こいつのドヤ顔、なんか怖い……。
……おや? 救芽井の様子が……?
「ふ〜ん、そう! 面白そうじゃない」
笑ってない! 目が笑ってないぞ救芽井! てかなんでお前まで「あ〜ん」の体勢に突入してんの!?
顔「だけが」ニコニコと微笑みを浮かべていた彼女は、ブスリとスプーンをパフェに突き刺すと、最奥のチョコの部分をほじくり出してきた。
すいませーん、表情と行動が一致してないでーす。こんなギャップは萌えませんから! 怖いだけですから!
「ムッ! さ、先に出したんはアタシなんやから、アタシが先やで龍太!」
「あら、変態君の分際で私を放って置くつもりなのかしら?」
ちょっと待て〜! なんで二人の美少女から「あ〜ん」を強要される事態が発生してんの!? 数分前までこんな空気じゃなかっただろー!
そしてなんで両方とも目がギラついてんの? 野獣か? 俺の目の前にいるのは野獣なのか?
……い、いや、ふざけてる場合じゃねぇ。どうすんだ!? 俺はどっちを取ればいい!?
デリカシーを重視して考えるなら、最初にスプーンを持ってきた矢村だ。だが、救芽井には昨日の恩もあるし、何より蔑ろにするには立場が違いすぎる! あいつのあられもない姿を見てしまった重責を無視するには、この状況はキツすぎるゥゥゥッ!
――あぁ、あられもない姿といえば、恥じらうあいつの表情は可愛かったよなぁ〜……うへへ。あの時はこんなおっかない娘だとは思わなかったけども。
「ちょっと変態君! さっさと食べなさいよ! チョコが溶けるじゃない!」
「そーやで! 女の子二人に恥かかせる気なん!?」
思考を巡らせている間にも(後半は脱線したけど)、彼女らは決断を迫って来る。ちくしょー! こんな端から見たら、うらやまけしからんとしか思えないような状況、一度たりとも遭遇したことないんだからしょーがねぇだろ!
まさか俺がここまで優柔不断だったとは……! くっ、こうなったら常識的な観点を踏まえて矢村から――
ガシャアアンッ!
「――ッ!?」
な、なんだ!? 今、ガラスが割れる音
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