第三十話
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
ここに今、仲間を殺した仇が目の前にいる。
そのことに身体中が歓喜し、血液が全身にくまなく張り巡らされているように感じる。
だが、そのまま激情に身を任せてあいつと戦えば、いともたやすくあの包丁で俺は切り裂かれ、ポリゴン片となってこの世界から消滅するだろう。
……それは困る、いろいろな約束が守れなくなるから。
冷静になって考えろ。
どうやってこの絶好調の身体で、目の前のあいつを……Pohを殺すか――!
「It`s show time」
戦闘開始の合図はPohのお決まりのセリフと、俺が牽制に投げた三本のクナイが風を切り裂く音だった。
もはや言葉もいらず、俺とPohは命の削り合いに入る。
俺の初撃は易々とPohのステップに避けられるが、当然それは読んでいる。
「刺突術《矢張月》!」
Pohの回避地点を先読みし、位置を予測したうえで放たれた突撃系の技は、またも死神を思わせるPohのステップに避けられ、横に回り込まれてしまう。
そのまま隙を見せた俺の背中へと友斬包丁が煌めくが、俺の背後に向けての足刀《半月》を伴った蹴りとぶつかり合い、けたたましい金属音が響いた。
「……チッ!」
小さく発したPohの舌打ちと共に、友斬包丁が引っ込められる。
たかが包丁では、体重がのった俺の足刀《半月》とは斬り結べない。
「でぇぇい!」
Pohの方へと身体を無理やり反転させて勢いをつけ、少し後退したPohへと一文字切りとばかりに日本刀《銀ノ月》による横なぎで攻撃する。
――カスった……!
風以外を斬る感覚を覚え、Pohに更なる追撃をするために日本刀《銀ノ月》を両手に持ち、振りかぶ――
「――ッ!」
しかし、小回りならば包丁であるあちらの独壇場。
日本刀の適正距離ではない超々接近戦まで距離をつめつつ、小回りで圧倒してくる。
しかも、あのポンチョのせいで腕が見えず、腕の動き……ひいては包丁の動きが見えにくい……!
「ハッハァ!」
Pohの笑い声と共に俺の身体に浅くはいる斬撃に顔をしかめながら、反撃の機会をうかがう。
こっちにだって、超々接近戦相手に対応するさくが無いわけじゃない……!
「……《縮地》ッ!」
一瞬の隙をつき、本日一回目の特別な足の動きによる高速移動法《縮地》を行う。
だが、移動するために使ったのではなく、ましてや逃げるわけでももちろんない。
……いや、そんな隙を目の前の死神は許してくれまい。
「ハアアアッ!」
《縮地》の、目の前から姿が消える速さの足の動きで蹴りをくりだす。
初速度の為に、速度はいつものに比べるとたいしたことは無いが、それでも存分に足刀《半月》の威力を高めてくれる。
「……Sh
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ