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SAO−銀ノ月−
第三十話
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 ここに今、仲間を殺した仇が目の前にいる。
そのことに身体中が歓喜し、血液が全身にくまなく張り巡らされているように感じる。

 だが、そのまま激情に身を任せてあいつと戦えば、いともたやすくあの包丁で俺は切り裂かれ、ポリゴン片となってこの世界から消滅するだろう。
……それは困る、いろいろな約束が守れなくなるから。

 冷静になって考えろ。
どうやってこの絶好調の身体で、目の前のあいつを……Pohを殺すか――!

「It`s show time」

 戦闘開始の合図はPohのお決まりのセリフと、俺が牽制に投げた三本のクナイが風を切り裂く音だった。
もはや言葉もいらず、俺とPohは命の削り合いに入る。

 俺の初撃は易々とPohのステップに避けられるが、当然それは読んでいる。

「刺突術《矢張月》!」

 Pohの回避地点を先読みし、位置を予測したうえで放たれた突撃系の技は、またも死神を思わせるPohのステップに避けられ、横に回り込まれてしまう。

 そのまま隙を見せた俺の背中へと友斬包丁が煌めくが、俺の背後に向けての足刀《半月》を伴った蹴りとぶつかり合い、けたたましい金属音が響いた。

「……チッ!」

 小さく発したPohの舌打ちと共に、友斬包丁が引っ込められる。
たかが包丁では、体重がのった俺の足刀《半月》とは斬り結べない。

「でぇぇい!」

 Pohの方へと身体を無理やり反転させて勢いをつけ、少し後退したPohへと一文字切りとばかりに日本刀《銀ノ月》による横なぎで攻撃する。

 ――カスった……!

 風以外を斬る感覚を覚え、Pohに更なる追撃をするために日本刀《銀ノ月》を両手に持ち、振りかぶ――

「――ッ!」

 しかし、小回りならば包丁であるあちらの独壇場。
日本刀の適正距離ではない超々接近戦まで距離をつめつつ、小回りで圧倒してくる。
しかも、あのポンチョのせいで腕が見えず、腕の動き……ひいては包丁の動きが見えにくい……!

「ハッハァ!」

 Pohの笑い声と共に俺の身体に浅くはいる斬撃に顔をしかめながら、反撃の機会をうかがう。
こっちにだって、超々接近戦相手に対応するさくが無いわけじゃない……!

「……《縮地》ッ!」

 一瞬の隙をつき、本日一回目の特別な足の動きによる高速移動法《縮地》を行う。
だが、移動するために使ったのではなく、ましてや逃げるわけでももちろんない。
……いや、そんな隙を目の前の死神は許してくれまい。

「ハアアアッ!」

 《縮地》の、目の前から姿が消える速さの足の動きで蹴りをくりだす。
初速度の為に、速度はいつものに比べるとたいしたことは無いが、それでも存分に足刀《半月》の威力を高めてくれる。

「……Sh
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