アイングラッド編
紅き剣閃編
Empty Dream―夢物語
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肝心のダンジョンが一層にあると知ったときは流石に唖然とした。
キリト曰く、βテストの時は無かったそうなので、知らなかったのも無理はない。
レベルは恐らく60層程度、奥に巨大なモンスターがいるかもしれないということだが、俺、キリト、アスナは共にレベル90を越しているので、問題が起きたとしても撤退ぐらいはできるはずだ。
懸念があるとすれば、ユイの強固な主張により、やむなく彼女を連れてきたのと、何より俺が本調子じゃない。
「にぃ……大丈夫?」
「……ああ。大丈夫だよ」
その原因を作ったとも言えなくもないユイは俺が肩車しているのだが、敵は誰が相手しているのかというと、
「ぬおおおおお」
右手の剣でずばーーーっとモンスターを切り裂き、
「りゃああああああ」
左手の剣でどかーーーんと吹き飛ばす。
「………病人め」
「パパーがんばれー」
「な……なんだか、すみません、まかせっぱなして」
「いえ、あれはもう病気ですから……。やらせときゃいいんですよ」
「なんだよ、ひどいなぁ」
10匹近くの群れを蹂躙し終えたキリトが戻ってきた。
「じゃ、交代ね。リハビリ代わりに暴れるから」
「……も、もうちょっと」
女性2人が顔を見合わせて笑い、俺はやれやれと首をふった。
その後、さっきからよく出てくるカエル型モンスター、《スカベンジトード》の肉をキリトがアスナに料理してくれと言って出したとたん、全て捨てられるという茶番劇(なお、パーティーには俺も入っていたので、俺のストレージには残っている)があった以外は何もなく、一行は奥に進んで行った。
途中交代を巡ってキリトと20回連続のあいこを経るジャンケンを制し、暴れ回ったのは余談だ。
「ふっ!」
骸骨剣士の同に大太刀の一閃が決まり、吹き飛ばしたその先に、ついに光の洩れる通路が現れた。
「あっ、安全地帯よ!」
「奥にプレイヤーが1人いる。グリーンだ」
「シンカー!」
もう我慢できないというふうに一声叫んだユリエールが金属鎧を鳴らして走り始めた。あわてて後を追う。
「ユリエーーーール!!」
答える男の声に感動とは違うものを感じ取った俺は確かめる間もなく、叫んだ。
「ユリエールさん!戻って!!」
と言うのと、十字路にモンスターが湧出するのは同時だった。
「くっ!!」
突然、横のキリトがかき消え、見事な体捌きでユリエールを救出する。
それを追って追い付いた俺とアスナはユイをユリエールと一緒に安全地帯に退避させた。
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