第10話 聖痕〜スティグマ〜
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ね?」
「そうだよ。そういえばさっきちぃさん幻想卿って、」
先程ちぃさんから洩れた単語の意味を再び問うことにする。
「聖痕には未だ謎が多い。分かっていない部分のほうが多いというのが現状」
「?」
「朔也が接触した『仮面』それこそが今回の事件の発端であり、朔也に刻まれた聖痕『そのもの』なのよ」
「どういうこと?」
よく分からんが、あの仮面が現状の原因と言うことか?
「聖痕について分かっている機能に、『担い手のいない聖痕は自律的に行動して自ら担い手を探索する』というものがあるの。その機能を指して『|幻想卿』というのよ」
「じゃあ、俺が戦った仮面が…」
「幻想卿よ。今回の件もそれで説明がつくわ。幻想卿の行動規範はたった二つ『担い手の探索』と『異形の殲滅』。大方朔也の聖痕の幻想卿が今回の事件の首謀者たちを攻撃してそれから身を護るために近場にあったこの島全体を死徒化したっていうのが大体の筋でしょうね」
なんて傍迷惑なモンだ。自律行動する上に行動規範が殺戮とか。ハル辺りが利いたら目を輝かせそうで怖いが…
「それで?教会所属の特務審問官様はこの件を如何にするつもり?」
不意にちぃさんが殺気を纏う。敵と相対する時のソレがレオ神父に向けて放たれている。
「…別に俺は何もしないさ」
「『教会』は聖痕を持つ聖人にご執心のようだけど?」
ちぃさんの問いにレオ神父が笑みを浮かべる。
「フッ…元々お前と我々との間に結んだ協定に従ったまでだ。あんな権力欲にまみれた枢機卿共の言うことなど聞くつもりは毛頭ない」
「…はぁ、ならいいわ。こんなところでアナタと殺し合いなんて私としてもご遠慮願いたかったし。でも、いいのかしら?教会指折りの実力者の審問官が上の命令に逆らうなんて」
ちぃさんの纏う殺気が霧散していく。軽口を叩いているし、どうやら修羅場は抜けたようだ。
「問題ないさ。確かに枢機卿どもからは強引な回収を命じられてはいたが、俺が元々教皇から受けた命は『事件の解決と原因の調査』だ。俺個人としても組織の一員としても教皇の言葉を優先する。もっとも、この件の顛末に関して教皇に報告するつもりではあるがな」
「そう」
そっけない反応だったが、わずかにだがちぃさんがホッとしているようだったのは気のせいではないだろう。なんだかんだ言ってずいぶんと優しい人だ。
「護衛のほうも教皇が何か手を打つだろう。俺もこの町にいることだししばらくは問題ないはずだが、町の退魔師達が口を出してきそうではある」
海鳴の退魔師…トウカん家の神咲家の方々か。
「そちらのほうは私が手を打っておくわ。レオが行ったんじゃ門前払いされるのが目に見えてる
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