第9話 幻想卿
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面、拝ませてもらいますか」
と仮面が完全に沈黙しているのを確認してその仮面を剥がそうと手をかけた瞬間、
『汝…我、担手也』
「ッ!?」
反応する間もなく仮面が呟きと共に発した黄金の閃光が俺の体を貫き、今度こそ完全に俺の意識を刈り取った。
………
……
…
「…クヤ、朔也!」
聞き覚えのある女性の声が俺を呼んでいるのが聞こえてきて、俺の意識は再び浮上する。
「ちぃさん?」
目を開けると先程の声の主である女性…東堂千秋が心配そうに俺のことを覗き込んでいた。
「はぁ、無事で良かったわ。いきなり救難信号があがるから急いできたら朔也が倒れててビックリしたのよ?」
「確かに出来る限り使うなとは言ったがそんなに追い詰められるまで耐える必要はなかったのだぞ?」
「スイマセン。ちぃさん、レオ神父」
だいぶ2人に心配をかけていたようだ。レオ神父のアレも冗談だったのだろう。俺が真に受けてしまっていたことに申し訳なさそうにしている。
「それにしてもこの辺りのこの惨状は何事だ?朔也、何か知っていないか?」
レオ神父が回りを見渡して俺に聞いてくる。暗に俺がやったのかという意味だろう。2人ともここには俺と食屍鬼以外いないと思っている。
「いえ、矢鱈めったに光線撃ってくる仮面をつけた奴が食屍鬼殺しまくってて多分そいつがやったことじゃないかと…」
「…幻想卿」
「なに?」
俺の説明にちぃさんが小さな呟きを返す。レオ神父もその呟きに反応する。
「幻想卿?」
「…朔也、正直に応えて。その仮面の奴はどうしたの?」
ちぃさんの口にした聞き覚えのないワードを聞き返すと不意にちぃさんが血相を変えて俺に詰め寄ってきた。…何かにあせっているのか?
「いや、普通に戦って倒し…」
と言った辺りでようやく自分が倒れる寸前の出来事を思い出した。あの時確かに仮面が放った黄金の光に体を貫かれたはず…なのに何故俺は生きている?
「ッ!!」
「どうしたの!?」
言葉を途中で区切って、いきなり俺の顔色が変わったことに気づいたちぃさんの問いかけにも答えずカソックを脱いでいく。そして、
「え…」
「なんだと!?」
「やはり、そうなのね…」
困惑、驚愕、悲嘆…俺の体に刻まれていた『モノ』に三者三様それぞれが反応を示す。そこには…
「なんだよこれ…」
胸に赤く血で描かれたような刺青が刻まれていた。
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