第9話 幻想卿
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る。
「ッ!!」
仮面が自身の殺傷圏内に入った食屍鬼に向かって両手を向けた瞬間に全身の筋力をフルに解放して高速で相手に迫りつつ、左手の黒鍵をそれぞれ投擲して仮面の両側、食屍鬼のいる方向から仮面に向かうルートに乗せる。これによって仮面は食屍鬼と黒鍵の迎撃のために絶対に両方向に向けて閃光を放たなければならなくなった。
『…』
それでもなお、仮面に動揺の様子は見られない。自身にまっすぐ向かってくる俺が目に入っているというのに。仮面は両サイドに向かって閃光を放ち、黒鍵と食屍鬼を沈黙させる。
「(決める!)」
仮面が閃光を放つのを確認すると同時にさらに加速をかける。仮面の放った閃光が対象を焼き尽くし、光を放つ両の手は目の前と言えるほどの距離になった正面にいる俺に向けられる。だが、この距離まで来れば…
「もう遅い!」
仮面の閃光が強大になり放たれようとしたその刹那、この一挙手一投足の間合いで稼いだ時間で十分なほどになった右手(・・)の光る球体…螺旋丸が仮面に向けて放たれる!
『…』
そのまま腹部に直撃を受けた仮面は地面に叩きつけられるがそれでもなお閃光を放とうとする。
「さ、せるかぁああああああ!」
それに対抗して球体にさらに魔力を練りこんでいく。その余波で周囲に大規模な衝撃波が発生し、粉塵がまう。
『!』
仮面も閃光を放たんとしているが先程よりも光が弱まりつつある。もう少しだ。あと、少し…
「うぉおおおおおおおおおお!」
そして…
『!?』
仮面の手から光が消えた。それと同時に右手の球体も消えていった。
「危なかった…まさか食らってる間も撃とうとするとは思わなかった。なんとか押し合いに勝ったから良かったものの普通の螺旋丸だったらアレで打たれて終わってたな」
先程の攻撃…ただの螺旋丸ではなく、ハルの助言を得てその場しのぎで作った偽・螺旋丸ともいえる技。通常の螺旋丸とは違って圧縮と回転を同時に行いフレキシブルな威力調整を可能とした方式に変更し、尚且つ最後の段階である留めるという過程を行わないことでぶつけた後も魔力をこめることが出来、結果として当てた後の打ち合いで押し切ることが出来た。もっとも、距離や時間を計り間違えると相手にぶつける前に霧散してしまうというのが難点だが。
「でも、魔力使いすぎたかもしれねぇ。気が、遠く、なってきた…一応、使っておくか」
先程の押し合いで魔力を大量に消費したせいかだんだんと意識が遠のいていく感じがする。このまま気絶するのはまずいのでレオ神父から預かっている発煙筒を焚いて、救難信号を上げる。多分しばらくすればちぃさんたちが回収に来てくれるだろう。そろそろ意識が途切れそうになってきたが、その前に…
「さて、その
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