アインクラッド編
各々の道
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。
「本当は、キリト、あんたに礼を言いたかったんだ」
「クリームパンの?それともウインドフルーレをあげたこと?」
「違う」と言ってすぐに、「・・・・やっぱりそれも含む」と付け足す。
この世界に来て初めて美味しいと思って食べた食事。
そして、ただのポリゴンデータの集まりだと思っていた剣が、意志を、力を持っていると分からせてくれた。
それらにも感謝はしている。
「そうだな・・・色んな事の礼。初めて・・・・この世界で目指すもの、追いかけたいものを見つけることが出来たからな」
「へえ・・・何?」
結構本気で気になる様子で聞いてくるキリトにアスカは
「内緒だ」
と短く答えて、
「頑張って生き残って強くなってみせる。自分の目指す、追い求める場所にたどり着けるように」
と、続けた。
アスカの心の奥底には、まだこのゲームがクリア不可能、という気持ちが消えずに残っている。ようやく第1層を攻略できたのだ。この先にはまだ99もの試練が残っている。
最後まで生き残っているという確信は・・・・正直、ない。
だが、アスカは死ぬために戦うことは止めようと、決めたのだ。
目の前にいる少女、キリトと出会ったことにより、見つけた、この世界でのたった1つの目標のおかげで。
アスカの言葉に嬉しそうな顔をするキリト。
「うん。君は強くなれる、どこまでも。プレイヤーとして、ステータス的強さだけじゃなくて、もっとずっと貴重で大切な強さを身につけられる。だから・・・もし信頼できる人にギルドに誘われたら断らないでね。ソロプレイには絶対的限界があるから・・・」
じゃあ、あんたはどうするんだ?とは聞けなかった。
代わりに、アスカはウインドウを操作。アイテム欄にある1つのアイテムを選択、オブジェクト化し、隣のキリトに放り投げるようにして渡す。
「わっ・・・!?」
キリトは急に自分の視界を遮る布きれに戸惑うが、それを広げて、目を見開く。
「マフラー・・・・?」
そう。それはアスカがボス戦に入る前に、迷宮区内で見たことのないワーム型モンスターを倒したときに手に入れたものだ。
アイテム名は〈ジェットブラックフロント〉。日本語に訳すと、〈漆黒の隠れ蓑〉。
効果は,
“隠蔽ボーナス+20%”。
マフラーをタップして、ウインドウを見つめていたキリトが驚きの声を上げる。
「うわ!?ボーナス20%!? 超レアアイテムだよ、これ!」
「いい、礼のついでにあげる。俺は隠蔽スキル取ってないからな」
ボス戦へと挑む際の会話でアスカはキリトが〈隠蔽スキル〉を持っていることを聞いていたのだ。
それに―――
「そのフードケープだけだと、防御力かなり低いだろ?」
アスカの質
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