暁 〜小説投稿サイト〜
緋弾のアリア 〜Side Shuya〜
第2章(原作2巻) 堕ちし刃(デュエル・バウト)
第19弾 交錯する事象(オーバーラップ)
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 あまりのことに、俺は対応することができなかった。
 同時に俺は、負けを確信した。
 だが、自身の奥深くに眠るそれは、敗北を認めなかった。
 いや、認めてくれなかった。

「???ッ!?」

 瞬間的にだが、全身の血液が沸騰した様な感覚に襲われる。
 そして、俺の視界はスローモーションの世界へと変化していく。
 ???見えるッ、太刀筋が。
 俺は左手の雷鳴を、物干し竿の軌道と同じ位置に刃を置き、『燕返し』を受け止める。

「……!?」

 刃が受け止められたことに気づいたらしい佐々木は、再び間合いを広げた。
 ……まさか、タイバースト???俊バス(タイバス)になるなんて。

 この俊バスとは、バーストモードが瞬間的に行われる状態のことで、生死を分ける事態の時に無意識的に発動するものである。

 まあそれは置いておいて、一時的とはいえバーストモードにまで追い込んだ佐々木は賞賛に値するな。
 俺は両手の刀を鞘へと納めた。

「……なんの真似ですか」
「……とっておきだよ」

 俺はそのまま右足を引いて、左肩が若干前に出る体勢になった。

「……こいよ。お前の???巌流の奥義、打ち破る」
「ならば???その言葉、取り消させます」

 そういった佐々木は、先程同様にほぼノーモーションで『燕返し』を繰り出した。
 来な???見せてやるからよ。
 対燕返し用の秘技ってやつをよ! 

 俺は、左腰の雷鳴を左手で逆手持ちすると素早く、且つ軽く引き抜いた。
 そして、刃が斬り結ばれた。
 が、俺の刀は鞘から数センチしか出ていなかった。

 その、僅かな幅で俺は物干し竿を抑えたのである。
 そして、空かさず俺は右手で霧雨を逆手持ちし、刀の峰を佐々木の首元に突きつけた。

「勝負あり……だな」

 俺はそっと間合いを開きながら、刀を仕舞いつつ言った。

「……ええ」

 佐々木は返事こそしたが、その場で呆然と佇んでいた。

「……お前は強いよ」

 俺はそっと言った。

「……ただ、俺がそれを上回っただけさ」

 それを聞いた佐々木は、驚いた表情でこちらを向いた。

「……先輩は傲慢ですね」
「傲慢か。たしかにそうかもな」

 俺は自嘲しながらそういった。

「だが、事実だろ? 今の戦いは俺の方が強かったわけだし」
「……ええ」

 佐々木は事実をだと言うことを受け入れたらしく、弱々しい返事をした。

「???また挑みに来い」
「……え?」

 俺の突然の言葉に、佐々木は困惑していた。

「お前はまだまだ伸び代がある。頑張れば、俺のことなんて容易く超えていく筈だ。だから、また強くなって挑みに来い。そんときは相手してやるからさ」

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