第五十話 父と子
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時は経ち、執務室の窓から西日が差し始めた。
「……さあ。出来たぞ」
「ありがとうございます」
マクシミリアンが受け取った物。それは、新大陸が発見された場合に現地での、政治、軍事、外交と執り行うの全権委任状だった。
言わば、マクシミリアンは新大陸の初代総督に任命された事になった。
「しかし、海の向こうに大陸があるのだろうか?」
「それは、何とも言えませんが、無ければ我がトリステイン王国は逃げ場を失います」
「大地の大隆起か……いつ聞いても眉唾物だな」
「大隆起の研究は、ワルド子爵の母君が責任者となって、日々研究を行っている所ですが、発生条件など、未だに分かっていません」
「そうか……とにかく無事に帰ってきてくれ」
「分かっていますよ。カトレアを早々に未亡人にするつもりはありません」
マクシミリアンは力強く言った。
「……所で、出発は来週だったか。今日はどうするんだ。泊まって行くか?」」
「カトレアは居ませんし、一家団欒というのも悪くないですね」
「そうか、アンリエッタとマリアンヌも喜ぶだろう」
「一晩泊まって、明日、ヴァールダムへ発ち、出航まで、かの地で過ごします」
「では、今日明日でお前の顔も見納めか」
「母上やアンリエッタも大事ですが、僕は父上からアドバイスを頂けたら、大変助かります。新大陸を発見した場合に、総督として、何かと決断しなければならない事もあるでしょうしね」
「大したアドバイスは出来ないだろうが、私の経験談でよければ聞かせよう」
「ありがとうございます、父上」
マクシミリアンとエドゥアール王は深夜まで語り合った。その間、アンリエッタとマリアンヌが、かまって欲しそうに、ちょっかいを掛けて来て、その度、中断してしまったが、父と子の語らいでマクシミリアンは多くのことを学んだ。
☆ ☆ ☆
そして次の日、マクシミリアンはトリスタニアを離れ、フネの待つヴァールダムへと発つ。
一週間ほど、ヴァールダムで最後の調整をしてから、新大陸探索の旅へ出発するスケジュールだ。
「父上、母上、それにアンリエッタ、お元気で」
「達者でな、マクシミリアン」
「元気でね、危なくなったらすぐに帰ってくるのよ?」
エドゥアール王をマリアンヌが別れの言葉をマクシミリアンに掛けた。特にマリアンヌは名残惜しそうにマクシミリアンの手を掴んで離さない。
「お兄様……」
「アンリエッタも、僕が居なくてもしっかりと勉強をして、僕が帰って来たら立派になった姿を見せて欲しい」
「……はい」
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