第五十話 父と子
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だったマノンが、二人に聞いてきた。
庶民はこの計画の事を知らない。諸外国はアトラス計画はフネの海上運用法の実験航海と、諜報部がニセの情報を掴ませていた。
庶民に真実を知らせないのは、庶民に広がった噂がロマリアに飛び、『布教したいから、同行させろ』と言う無理難題を吹っかけられるのを防ぐ為だ。
「それは……悪いがマノン。機密で詳細は言えないんだ」
「……まあ、お上のやる事に口出しするつもりも無いけど。最低限、相談して欲しいわ」
「すまないな、マノン」
「いいわよ。それで、アニエスの事だけど……」
マノンはアニエスを見た。
アニエスは、濡れそぼった猫の様に、心配そうにミランとマノンを交互に見ていた。
その様子をも見て、マノンの脳裏には、アニエスがアトラス計画に、何故、参加しようとしたのか真相が見えた。
(海の向こうに行って見たい。と言ったけど、それは嘘のようね)
そして、マノンが導き出した答え……それは『恋』だった。
(気になる人が、その計画に参加するから自分も着いて行きたいのね)
マノンは、ホッと胸を撫で下ろしたい気分になった。
コマンド隊に配属され数年。男所帯の職場に押し込まれ、『年頃の少女から懸け離れた性格になるのでは?』と心配していただけに、同じ女として、何より養女のアニエスの恋を応援したくなった。
「おばさん……」
「そうね、私は賛成という事にしておこうかしら」
「いいのか?」
「本人が行きたいと言ってるんだから」
「ありがとう、おばさん!」
「代わりに、私達のことを、お父さん、お母さんと言いなさい、ね?」
マノンは、アニエスにウィンクをした。
「え、えええっ!?」
「早く早く!」
「ううう」
アタフタとするアニエスに、マノンは更に迫った。
「さあさあ!」
「その……ありがとうございます。お養父さん(とう)、お養母さん(かあ)」
アニエスは、顔を真っ赤にして言った。
「合格点には物足りない所だけど、、まあ十分ね。」
マノンは満足したように、にっこりと微笑んだ。
「それじゃあ……!」
「いいわよ、行ってらっしゃいアニエス」
「おいおい、俺をほったらかしにして話を進めないでくれ」
今度は、自分が蚊帳の外にされたミランが口を挟んだ。
「あら、いいじゃない。『可愛い子には旅をさせろ』と昔から言うじゃないの」
「少なくとも、私は聞いたことが無い」
ミランは難色を示した。
アニエスは、養父をどう説得するか、思案に移ろうとすると、マノンが耳打ちをしてきた。
「なんだ一体、何か悪巧みをしているのか?」
ミランは、警戒しつつ二
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