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提督はBarにいる。
秋の夜長にホットなカクテルを・1
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……」

「まぁ、試しにやってみっか」

 ツボ振りは俺がやる。黒いプラスチック製のカップに、サイコロを2つ放り込む。その状態でよく回して、逆さまにしてカウンターの上に置く。

「さぁ……丁か?半か?」

「う〜ん……じゃあチョウ!」

「ならアタシは半かな〜」

 ジョンストンは丁、隼鷹は半。さてさて……

「グニの半!」

 出た目は5と2。合計7で奇数の半。隼鷹の勝ちだ。

「やりぃ!へへへ〜、悪いねぇ1杯オゴリだよ?提督ぅ」

「わ〜ってるよ、ったく……」

「今度はなんでもいいから、温かいカクテルがいいねぇ」

「はいはい」

 さて、じゃああまり温めて飲むイメージの無い酒をホットカクテルに仕上げた1杯を。まずはカクテルを作る前の下準備。ホットカクテル用のグラスにお湯を注いで、器を温めておく。器が温まったらお湯は捨てておく。ベースリキュールはカンパリ。ソーダ割りとかカクテルの香り付けとしちゃあ定番だが、ホットで飲むのはあんまりイメージ無いだろ?こいつを温めておいた器に40ml。そこにハチミツとレモンジュースを1tsp。仕上げに『キュンメル』ってリキュールを適量注いでステア。キュンメルってのはキャラウェイ(姫ういきょう)を使ったリキュールでな、こいつがまたイイ香りを付けてくれる。

「ホラよ、『ホットカンパリ』だ」

 そう言って俺はグラスを2つ差し出す。

「おろ?1杯多いよ提督ぅ。酔っ払ってんの?」

「アルコール漬けになってるお前の脳味噌と一緒にすんな隼鷹。これはジョンストンの分だ」

「ほぇ?」

 まさか自分の分まで出てくると思っていなかったジョンストンは、間抜けな声を上げている。

「お前は『負けたら飲む、限界まで勝負する』って約束だったろ?そしてお前はたった今負けた。だから……飲め」

 そう言われて顔が青ざめるジョンストン。とっくの昔に限界なのはこちとら解っていたんだ。これはトドメを刺しに行っている。

「さぁ……景気よくいってみようか?」

「〜〜〜〜〜〜っ!」

 俺がニヤリと笑ってそう言うと、ジョンストンは涙目になりながらギブアップを宣言した。



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