第8話 初陣そして遭遇
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にこいつらをまとめて|吸血種(オーガ・バンピエンス)と総称する。
「だから燃やしてるのか。そりゃ全部丸ごと燃やせば楽に決まってるわな」
さきほどから向こうのほうを赤く光らせている炎はそのためだろう。元々アンデッドそのものにも炎は有効のうえ全身くまなく燃やし尽くすほうが探し出すより楽だからな。…ちなみに食屍鬼の習性上あの2人の戦場の近くにいると自然と大量の食屍鬼を相手にしなければならなくなるという(俺にとっての)デメリットがあるが。
「って、そうじゃなくて。ここにいたら俺まで巻き込まれかねん。さすがに丸焼きは勘弁だ」
無事な家屋の屋根を伝って海の方まで移動していく。食屍鬼は音を頼りに獲物を探す。そのため波の音が絶えない海岸は特定されない見晴らしが利くという意味では最適だと判断したのだが、結果としてこの行動は裏目に出ることになる。…それはもう最悪な形で。
「うわぁ…」
海岸に出た俺を待っていたのはおびただしいほどの死体と、
『…』
その死体の中に佇みこちらに視線を向けるこの光景の再現者の人影らしきものだった。その人影は黒衣をまとい、長く白い髪を流し鬼の面をつけていてその仮面から除く双眸には明確な闘志がこもっている。
『失せよ』
「ッ!?」
人影が一言口にすると同時にその手から閃光が迸り、自分の横を通過して自身の後方に駆けていった。恐る恐る振り返るとそこには、無残にも灰になっていく大量の食屍鬼だったものがあった。
『…汝』
再び人影が口を開く。今度もあの閃光がくるのではないかと身を硬くするが、未だあの光は発せられなず、代わりにその人影がこちらに近づいてくる。海辺に立っていたと言うのに水面に波紋も立たせずに。まるでそこに本当は存在しない『幻影』のように。
「ッ!」
その目を向けられた瞬間に自分の体に走った悪寒は果たして、恐怖か、それとも…
『汝…示せ』
「…勘弁してくれっての」
武者震いか。
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