第90話 烏桓族諜略 前編
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
と冥琳の言い分は善く分かった。だが、一度下した裁定を覆す訳にはいかない。だから、これからは桃香をどう遇すればいいと思う」
私は遠く空を眺めながら、揚羽と冥琳に意見を求めました。
「劉玄徳は今後も正宗様に厄介事ばかり持ってくると思いますので、彼女を暗殺するべきです。洛陽ならば暗殺する機会は多いと存じます。ただ、月華殿の目には重々気をつけねばなりません」
揚羽は私に淡々と桃香暗殺を献策してきました。
「揚羽殿の意見に同感です。劉玄徳は能力は高くはありませんが、人徳だけは目を見張る物がございます。あのような者が正宗様の周囲をうろついては正宗様の足下を乱しかねません」
冥琳も揚羽同様に暗殺を献策してきました。
「どうしても桃香を殺さねばならないのか? 彼女は迷惑な人物だが、善人だ。殺すのは忍びない」
私は揚羽と冥琳の顔を順に見て言いました。
「正宗様、甘いです」
揚羽は厳しい表情で私に言いました。
「正宗様は悪人にはとことん冷酷無慈悲ですが、善人にはとことん情けをお掛けになさいます。それでは政は立ち行きません。政は清濁を合わせ持たねばならないのです。民の安全を守る為ならば、例え善人を殺すことになっても、覚悟して実効せねばならないのです」
「だから、桃香を殺せと言うのか?」
私は心の中で葛藤がありましたが、己に自答するかの如く揚羽に言いました。
「正宗様、その通りです」
揚羽ではなく、冥琳が応えました。
「あの〜、白熱しているところ申し訳ないのですが、少しよろしいですか?」
私達の会話に風が割り込んできました。
「私は劉玄徳という人物のことは知りませんが、別に殺さずとも良いと思います〜」
風はアメを舐めながら、揚羽と冥琳の顔を順に見て言いました。
「風、それはどういうことだ。妄言ならば許さぬぞ」
冥琳は厳しい表情で風に言いました。
「ふふ、妄言とは酷いのですね〜。正宗様、劉玄徳は人徳があり、あなた様が大恩を施された人物とお聞きしました。ならば、それを利用されればいいと思うのですよ〜。その人物が一勢力を作る手助けを影ながら行えば、正宗様側の影響下にある諸候が誕生するのです〜。仮に、大恩ある正宗様に弓引けば、それを理由に滅ぼし、その領地にあなた様の息を掛かった者を送り込めばいいのです。正宗様はただでさえ、力をお持ちなので、これ以上は力をあまり誇示されない方が良いと思います」
風は謀臣の片鱗を見せる発言を私達に披露しました。
「風、悪知恵が善く働くな・・・・・・」
冥琳は風の献策に少し引いていました。
「冥琳様、褒め言葉と取っておくのです〜」
風は機嫌良くアメを舐めていました。
「風の献策はなかなか良いですね。です
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ