【めぐり逢う螺旋】
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に、『オレが火影になってから日向を変えてやるよ』とも、言われているしな」
茜色に染まる夕日を橋の上から眺め、静かな口調で語るネジのどこか穏やかな横顔からボルトは目を離せなかった。
「……俺とした事が、少し喋り過ぎたようだ。意味は分からなくていいから、今のは忘れてく──」
ネジがボルトに顔を向けた時、不意にボルトは片手の指先をネジの額当てに宛てがった。
「──?忘れないってばさ」
その薄蒼い真剣な眼差しはまるで、ネジの額当ての下に隠された籠の中の鳥を意味する呪印を一心に見つめているかのようだった。
「おかしな奴だな、お前は。まるであいつのような……」
ネジは思わず微笑して自分の額当てに宛てがわれたボルトの片手をそっととってゆっくりと離した。
「お前のその、首飾りは──」
その際にボルトの胸元の螺のような形状の飾りに目が行く。
「あぁ、これ? オレが物心ついた時には、つけてたんだよなぁ。つけてるのが当たり前過ぎて、風呂の時も寝る時もつけたままなんだ」
「風呂の時も寝る時も……? 錆びないのか? それに寝る時までつけていたら、その形状ではある意味危ないのでは」
「平気だってばさ、錆びたことないし今までだって何ともなかったし。……前に確か、オレ何でこの首飾りつけてんだっけって父ちゃんに聞いたら、それは忘れちゃいけない大切な繋がりだから、お前に身につけていてほしいんだって言われたっけな」
「そうなのか……。お前の、父というのは──いや、聞かないでおこう。?──」
ネジはふと片手を伸ばし、ボルトの胸元の螺のような形状の首飾りにそっと触れる。
「……つけてみる? ネジさん」
「ん、いや……お前の大切なものなんだろう。俺がおいそれとつけるのは──」
「いいって別に、ネジさんに一回つけてほしいんだ」
そう言ってボルトは首の後ろに両手をやり留め具を外す。
「って、ネジさんの首元……着てるもので隠れてつけられないってばさ。首元開けてくんない?」
「む、しょうがないな……」
ネジはボルトに言われた通り首元を開けてみせた。
「んじゃちょっと失礼するってばさ」
ボルトはネジに向き合ったまま両手を伸ばし、後ろの髪に両手を差し込む形でネジの首の後ろで首飾りの留め具を留める。
「──どうかな?」
「どう、と言われてもな……」
螺のような形状の部分を片手で感触を確かめるように何度も触れ、ネジはその後何を想ってかぎゅっと握りしめて瞳を閉ざす。
「───??」
「ネジ、さん?」
「……これでいい。もうお前に返すよ」
ネジは微笑を浮かべたまま自分の髪の流れる首の後ろに両手を差し入れ首飾りの
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