第1.5章(AA1巻) 切られし火蓋(リマインド)
第17弾 覚醒(バーサーキング)
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既に水蜜桃の狩るP・A・Aは、マニュピレーターを振りかぶっていた。
俺は既に避けられないと思った。
だが、俺の理論的予感と本能的直観により、自然と体を反時計回りに捻り、神回避を行なっていた。
直後、俺のいた位置を1発の銃弾が駆け抜けて行った。
「……ッ?!」
その銃弾はズレることなくP・A・Aの人間で言う肘の部分を貫いた。
それによりマニュピレーターは動かなくなってしまったようで、垂れ下がるような状態になってしまった。
『何だ?』
あまりの事に水蜜桃は驚いていた。
この一連の出来事の直後、俺の聴覚がある1つの音を捉えた。
そして呟いた。
「???ドラグノフ狙撃銃。レキか!」
俺は後方へ振り向く。
今度は俺の視覚が、ここから1900mほど離れたビルの上に狙撃銃を構えたレキの姿を捉えた。
流石だな、狙撃科のSランカー。
この距離から、あの無数の配線の中の動力系を確実に撃ち抜くなんて。
だが、何故レキが?
そんな事を考えながらも、目の前の敵へと視線を向け直す。
『この、なんで動かないんだ!』
水蜜桃は動かないマニュピレーターを動かそうと必死になっていた。
マニュピレーターが動かない状況は優勢だと言える。
だが、いくらマニュピレーターが動かなくなったしても、戦況が不利なのには変わりがない。
『チッ……動かないか。まあ、いい。だったらこっちだ!』
マニュピレーターを動かすのを諦めたらしい水蜜桃が、左アームのM60を構えた。俺は、弾丸を撃ち落とすために身構えた。
すると上空から2発の発砲音がした。
そして、煙幕がP・A・Aを包み込んだ。
『今度は何なんだ!』
水蜜桃が叫ぶ中、俺は上空を見上げた。
そこには上空からこちらへと向かって降下してくる人影があった。
あれは???
「???アリア?!」
上空からパラグライダーに足を引っ掛け、逆さまの状態で降下してきたのは、双銃双剣のアリアさんことアリアだった。
「……あんたホントにバケモノね」
パラグライダーから足をはずした後、宙返りしつつ着地したアリアにそんな事を言われた。
アリアさんも十分化け物じゃないですかね?
というか十分と言わずに十二分でもいいんだけど。
「あんた今失礼なこと考えなかった?」
なんだこいつの直感は。
お前実は超能力者じゃねぇの?
「そんな事ないけど」
アリアは怪訝な顔をしていたが、直ぐに普段の武偵の顔に戻る。
『どうなってやがる、レーダーがイカれてる!』
水蜜桃は未だに何もできない様子だった。
「お前、何したんだ?」
横目でアリアに聞いた。
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