第1.5章(AA1巻) 切られし火蓋(リマインド)
第17弾 覚醒(バーサーキング)
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何とか言葉を捻り出して聞いた。
「シュウ君に……これ以上……苦しんで欲しく……なかったから」
マキはそう答えた。
「……俺……に?」
俺の疑問にマキはそっと頷いた。
「去年……シュウ君が……刀を振らないって……言ってきた時、私は……シュウ君に……何もして……あげられなかった」
マキは途切れつつも、話を続けた。
「それに、シュウ君は……『力』を持っている。だから、約束……して。その……力を……正しい事に……使うって」
マキの言葉を聞いて、頭の中にあるものが浮かんだ。
(???武偵憲章3条『強くあれ。但し、その前に正しくあれ』)
それを理解した瞬間に、俺の中を流れていたドス黒い血流が徐々に上部から真芯へと集まっていくような感覚が現れた。
これと似た感覚を聞いたことがある。
そして血流は徐々に普段と変わらない血流へと変わっていった。
しかし、今の状態は普段のバーストモードとは異なっている。
だが、今の血流は普段のものよりも強い。
そして何よりも、サイレントアンサーと同等の思考力。
これが決定的な違いだ。
俺の頭を1つの考えがよぎった。
(???ヒステリアモード???)
ところどころ違うとは言えど、今の状態はキンジから聞いたヒステリアモードの感覚に類似している。
だが、今はそんな事は関係ない。
これがなんだって構わない。
これが、この力が、マキとの約束を守れるものならば。
何かを悟ったらしいマキは軽く微笑むとそっと目を閉じた。
俺はマキを抱え上げると、ハイエースの方へと歩き始めた。
『これでも喰らえ!』
その声と共に後方から無数のミサイルが発射された。
俺はそれらを見ることなく、尚且つマキに負担が掛からない様に全て避け切った。
『な、何っ?!』
水蜜桃は焦ったような声を出していた。
俺はそれを無視して進む。
対する水蜜桃は、なおも追いかけようとする。
俺は、懐の武偵弾『炸裂弾』を、衝撃を加え奴の足元へと巻いた。
それにより、P・A・Aは一時的に行動できなくなってしまう。
『な、なんでだ?!』
俺は水蜜桃を無視して、ハイエースへと辿り着く。
中に乗っていた歳那はいつもと変わらず表情を読み取れない顔をしていたが、意識の戻っていたらしい凛音は唖然とした様子だった。
「……今……貴方何を」
「……今はどうだって良いだろ? それよりも、だ」
俺はマキを最後部座席へと寝かせる。
「マキのこと、頼むよ」
2人へそう伝えた。
「待って、貴方はどうするの?」
凛音に呼び止められた俺は振り向く。
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