第一部
肉体言語
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「たしか紫闇って『禍孔雀』みたいなの使ってたよな。あの拳が光る必殺技。今どうなってるか見せてほしいんだけど」
《立華紫闇》は《永遠レイア》に頼まれると【魔晄/まこう】を拳に集めるイメージを行い拳を黄金に輝かせる。
これには《黒鋼焔》も目を丸くした。
「確かに禍孔雀の第一段階だね。この技は黒鋼流の【練氣術】で戦う場合だと三羽鳥の『音隼』や『盾梟』に並ぶ、基本にして奥義の一種なんだけど。でも思い通りに爆裂できないと明かり代わりにしかならないよ?」
その通り。
使えなければ意味は無い。
「刻名の生徒から助けた時に使ったよね? 辺りの魔晄を察知してたから判る。あれが偶然じゃなかったら僕としては嬉しい。修業は次の段階から厳しくなるからね。そっちの方に時間を割きたいんだ」
紫闇は二人の期待に応えようと突きを放つが迫力の無い音と共に拳の煌めきは失われた。
もう一度試すが結果は同じ。
「うーん。まだ制御できないみたいだね」
「むしろここまでが順調すぎたからな」
そう言ってレイアと焔が禍孔雀を使う。
轟音と共に黄金色の粒子が拡散する。
これが格の違いだろうか。
悔しい紫闇は何度も突きを繰り出すが爆裂の規模は変わらず魔晄を消費して息を切らす。
「紫闇はこれまで黒鋼に弟子入りしてきた人間と比べて何年も早く、死にもせず、無事にここまで辿り着いてるんだ。焦る必要なんか無い」
「兄さんの言う通りさ。じっくり行こう」
紫闇は決意する。
禍孔雀を修得して【龍帝学園】に戻り、馬鹿にしていた連中へ目にもの見せてやろうと。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
紫闇が黒鋼に弟子入りして二週間。
まだ禍孔雀を覚えていない。
「これで初級は終わり。もう一段階上の修業だ。具体的に何をするかと言うと、精神の修養と組み手による戦力の底上げかな」
焔の言葉に紫闇の心が痛む。
《佐々木青獅》と戦ってボコボコにされたことを思い出したからだ。
「今の紫闇は少しだけ黒鋼の技が使える一般人ってとこかな。戦力や内面は出会った頃と同じ。けどそれも仕方ない。実際に戦わないで強くなれる人間は居ないよ。鍛えて能力が上がることは有ってもね」
そういう焔だがレイアやエンドは例外。
実戦をせずに頭の中でイメージし、架空の相手とバトルをするだけで強くなれる。
一通り相手の戦い方を見ることが出来ればそれだけで問題が無いのだ。
しかしそんな彼等であっても実際には戦闘をこなして経験を積み重ねた。
そうする
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