暁 〜小説投稿サイト〜
レーヴァティン
第百二十八話 博多からその十一

[8]前話 [2]次話
「酒を抜くぜよ」
「汗が出て来た」
「これで余計にぜよ」
「酒が抜けてきているな」
「我慢出来ん様になったら」
 当季はその時の話もした。
「幸いここには水風呂もあるぜよ」
「だからだな」
「そっちに入って」
「身体を冷やすな」
「そうするぜよ」
 こう英雄に話した、見ればその大柄で筋肉質の逞しい身体が湯舟の中もそこから出ている顔も赤くなっている。
「そしてじゃ」
「まただな」
「湯舟に入るぜよ」
「それを繰り返すとな」
 その時はというと。
「酒も抜けるぜよ」
「そうだな」
「そうすれば二日酔いにならんぜよ」
「二日酔いはどうしてもな」
「辛いのう」
「だからな、考えてみれば」
 こうもだ、英雄は言った。
「今のうちにな」
「酒を抜いておくべきじゃな」
「そうだな、実際にまさに一秒ごとにな」
「酒が抜けていってるぜよ」
「いい感じだ、ではだ」
 英雄はまた言った。
「ここはな」
「水風呂も行き来して」
「他の湯にも行くか」
「ああ、それもええのう」
「そうだな、とにかくな」
 今はというのだ。
「酒を抜いて身体も清める」
「そうするのう」
「それから寝る」
「そうじゃな」
「明日に備えてな」
「そして明日の朝は」
「夜明けと共にだ」
 その時にというのだ。
「出陣だ」
「わし等のいつもじゃな」
「そうだな、戦はな」
「いつも夜明けと共にじゃのう」
「夜明けが一番いい」
 戦をはじめる時ではというのだ。
「きりもいいし敵はだ」
「まだ寝ぼけちょる」
「そうした時に責めるとな」
「勝てるぜよ」
「だからだ、攻めるならだ」
 その時はというのだ。
「やはりな」
「夜明けの時じゃのう」
「それで明日もだ」
「夜明けと共に」
「起きてだ」
 そのうえでというのだ。
「出陣だ」
「わかったぜよ」
「だから晩飯は四時半にした」
 この時に食う様にしたというのだ。
「今はな」
「こうしてじゃな」
「風呂に入っている、十時にはな」
「寝るのう」
「そして夜明け前に起きてな」
「そしてじゃな」
「夜明けと共にだ」
 まさにその時にというのだ。
「出陣だ」
「わかったぜよ」
「勿論夜明け前に飯もだ」
「食うのう」
「干し飯だが」
 それでもというのだ。
「食ってだ」
「そしてじゃな」
「出陣する、いいな」
「わかったぜよ、しかし」
「どうした」
「わしも酒がどんどん抜けていってるぜよ」
 当季は英雄に湯舟の中で目を強く閉じて話した。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ