第七十七話 ビリー、丈に挑みかかるのことその三
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「それもどうしようもねえ馬鹿だ」
「だから何でそう言えるだよ」
「何処の世界に織田信長が風邪で死んだって馬鹿がいやがる!」
「っていうか御前イギリス人なのに何で織田信長知ってるんだ!」
「うるせえ!じゃあもう一回聞くぞ!」
「今度は何だ!」
「ロミオとジュリエットを書いたのは誰だ!」
今度もだ。常識の問題だった。
「誰が書いた」
「んっ?永井豪だろ」
「30÷5は幾つだ」
「3だ」
また間違える丈だった。
「だからそんな簡単な問題出して何だってんだよ」
「簡単だと思うんだな」
「ああ、他にも出してみろよ」
「ディスイズアペン書いてみろ」
「ったくよ。簡単な問題ばかり出しやがってよ」
丈はぶつくさ言いながらビリーの質問に答え続ける。今度は足元にアルファベットを書いていく。しかしそこに書いた文字は。
「ほら、これでいいな」
「ザットアーペンになってるぞ」
「だからディスイズアペンだよ」
「全然違うだろうがよ」
「あれっ、そうか?」
「手前学校の成績どんなのだった?」
「体育以外は一だったぜ」
狙っても取れない成績である。
「体育は五だったけれどな、いつもな」
「高校ちゃんと卒業してるんだよな」
「テストは名前書いてたらそれでよかったからな」
「やっぱり駄目だ」
ビリーはその結論を出したのだった。
「幾ら何でも手前にリリーは渡せねえ」
「俺の何処が悪いってんだよ!」
「普通の頭になってから言え!」
これでもだった。ビリーも譲歩していた。
そしてだ。こう言うのだった。
「いいな、小学校レベルの成績ですらねえだろうが!」
「俺これでも高校出てるんだぞ」
「だから名前書いたら赤点じゃない学校だろうがよ」
「そういや赤点の奴いなかったな」
名前を書けばそれだけで合格ならばだ。流石にいる筈もなかった。
「皆勉強してたんだな」
「イギリス人の俺でも手前の日本での学生生活がわかるぜ」
どれだけ勉強が駄目だったがだ。わかるというのだ。
「しかも手前が学校の成績だけじゃねえ」
「何だよ。成績だけじゃねえのか」
「人間としても馬鹿だ」
とにかくだ。丈は駄目だというのである。
「あの挑発もな」
「いかしてるだろ、あの挑発」
「ケツなんぞ見せやがって」
忌々しげに言うビリーだった。彼の挑発についてもだ。
「二度とあんな挑発はするなよ」
「あんないい挑発はねえだろ」
「ああ、じゃあリリーはなしな」
ビリーも言う。
「わかったな」
「無理にでもそっちに話をもってくんだな」
「とにかく人並みの知能身に着けろ」
「だからあるってんだろ」
「自覚しねえってのかよ」
「何を自覚するってんだよ」
こんな不毛なやり取りが続くのだった。そしてだ。
彼等
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