第七十七話 ビリー、丈に挑みかかるのことその二
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「だからね」
「あえて言わないことですか」
「そういうこと。もう春蘭達はね」
「わかっています」
「長い付き合いですから」
夏侯姉妹の言葉である。
「何かを隠しているのは察しました」
「それはすぐに」
「それをあえて言わないの。董卓に漏れたらことだしね」
「わかりました。それでは」
「さて、何はともあれあの娘との打ち合わせは終わったわ」
曹操はそのことはよしとした。しかしだ。
荀ケを見るとだ。彼女はだ。
異様に怒っていた。頬を膨らませている。その彼女を見て言うのだった。
「やっぱり。会いたくなかったのね」
「そうです。陳花だけは好きになれません」
こう言う荀ケだった。
「あの娘と会うのは不吉そのものです」
「黒猫だからね、あの娘は」
「小さい頃から大嫌いなんです」
姉妹同士でもなのである。
「全く。私が右だと言えば左で左と言えば右で」
「とにかく正反対よね、貴女達って」
「それで声は異様に似ていて」
もっと言えば誰もが同じ声に聞こえる程である。
「服装なんてただの色違いで」
「そういうことが余計になのね」
「はい、本当に嫌いです」
両目を怒らせてだ。怒りのオーラを放ちながらの言葉だった。
「何でいるんでしょう、あの娘が」
「まあ麗羽の軍師の一人だから」
それは曹操が指摘した。
「仕方ないんじゃないかしら」
「出陣しているだけでも迷惑です」
「いや、それは嫌い過ぎだろ」
ここで覇王丸が突っ込みを入れた。彼も同行しているのだ。
「幾ら何でもな」
「とにかく嫌いなのよ」
あくまでこう言う荀ケである。
「姉妹だから余計によ」
「そうなんだな」
「そういえばあんた兄弟いたかしら」
「いや、俺に家族はない」
覇王丸はだ。己の事情をこう話した。
「十兵衛さんとはまた違う事情だからな」
「むっ、おじさんとは違うの」
「そこでおじさんと呼ぶか」
その十兵衛もいる。彼は荀ケに対して話すのだった。
「確かにわしはそういう歳だが」
「何かそっちの方が呼びやすいから」
「それでだというのだな」
「そうよ。それでよ」
こう話す荀ケだった。
「まあとにかく。問題はね」
「姉妹の人とは絶対に会いたくないってんだな」
「もう二度とね。そうしたいものよ」
こう話してだった。荀ケはだ。
とにかくその姉妹との仲の悪さを見せるのだった。そしてだ。
争っているのはだ。彼等だけではなかった。
ビリーがだ。たまたま丈を見てだ。やけに怒っていた。
「よりによってこんな場所で会うなんてな!」
「何だよ、ここでも怒るのかよ」
「当たり前だ、リリーは渡さないって言ってるだろ!」
「あのな、妹さんが大事なのはわかるけれどな」
「リリーは俺の宝だ!」
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