戦姫絶唱してないシンフォギアG〜装者達の日常〜
装者達のハロウィンパーティー
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「そうですよ。折角の季節行事、緒川さんも加わってくれなきゃ嫌です」
翼は緒川のスーツの袖を掴み、軽く引っ張る。
ようやく付き合い始めたものの、緒川はまだ少し遠慮しがちな所が抜けておらず、個人的な楽しみ以上に仕事を優先させがちな部分も残っているのだ。
「翼さん……」
そんな緒川も、翼にこう言われてしまっては断れない。緒川が少し困った様な顔をしたのを見て、奏は何かを思いついたように笑った。
「おっし翼!ここは緒川さんにもあれ、言ってやれよ」
「ッ!そうね……。参加出来ぬというのなら、こちらから引き摺り込むまでッ!緒川さん、トリック・オア・トリートッ!」
防人スイッチがオンになった時の口調で、緒川に菓子をせびる翼。
すると緒川は、スーツの胸ポケットに手を入れ、チロルチョコを一つ取り出した。
「任務中のカロリー補給用のものが、一つだけ余ってました。こちらで良ければ」
「意外に可愛いもん持ってた!?」
「うっ、さすが緒川さん……」
予想に反した結果にしょぼくれつつも、チロルチョコを受け取る翼。
それを見た緒川は周囲を見回す。すると視線の先には、いつの間にやら大人用の黒マントと、顔の半分だけを隠す真っ白な仮面を用意した男女二人の黒服職員がいた。
「──翼さん、少し待っていてください」
そう言って緒川は黒服職員二人の元へと向かうと、その衣装を受け取った。
「翼さん、僕の方からもいいですか?」
「緒川さん、その格好は……」
黒いマントに白い仮面。その姿は、歌姫を舞台の影から見守り、導きながらも、歪んだ愛からその手を血に染めた一人の男……オペラ座の怪人だ。
「トリック・オア・トリート。……まさか、僕に言うだけ言って、自分は用意していないなんて言いませんよね?」
「……しまった、奏にあげたので最後だ……あっ……」
「じゃあ、悪戯されても仕方ないですよね?」
そう言って緒川は、羽織ったマントを広げた。
「あ〜……うん、しばらくそっとしておくか……」
奏は空気を読んでクールに立ち去り、黒服職員コンビはハイタッチを交わしていた。
遮るマントの向こう側、怪人が雪女に仕掛けた悪戯の内容は、きっとありふれたものなのだろう。
しかし、それでも。二人の心境がどのようなものだったのかまでは……二人の心だけが知っている。
「楽しかったね〜♪」
「ああ。来年には元F.I.S.の皆も参加出来たらいいな……」
「できるよ、きっと。師匠達が掛け合ってくれてるみたいだし、なんとかなる!」
「ああ、叔父さんと斯波田事務次官を信じよう。あの人達なら、何がなんでもあいつらを守ってくれるさ」
ハロウィンパーティー
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