コラボ特別編:響き翔く天の道
天の道を往く女
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故その名前に?」
「カブト響、だと語呂が悪い。でも『立花』って呼ぶのも姉さんと被る。じゃあ“天の道を往く響”、略して天道の方が呼びやすいし分かりやすいだろ?……ダメか?」
これまで散々見せつけられた再現度に、わざわざ“あの人”なんて呼んでいる辺り、彼女の天道さんへの敬意は本物だ。
彼女が『天道総司』の生き方を真似ている理由は分からないけど、本気で彼女は天道総司のようになりたいんだろう。
だからこそ、この呼び方を良しとしない可能性は0じゃない。
この提案却下されたら、やはりカブト響呼びに──
「……いいだろう」
少し間があって、彼女はそう答えた。
「それは、未だあの人に程遠い私には恐れ多い名前だ。だが、こちらの私と区別する為なら悪くはない」
そう言ってクスッと笑う彼女に、響が手を差し伸べた。
「じゃあ、よろしくねっ!天の道を往くわたしっ!」
「ああ」
その手を握る天道響。同じ人間が握手しているという不思議な光景に、俺もなんだか笑ってしまった。
「ああ、そうだ。翔、一つ頼みがあるんだが……」
ふと思い出したように、天道響は俺の方を見る。
何だろう、と疑問符を浮かべる俺に彼女が言った言葉は、想像の斜め上を行くものだった。
「再生機器と、それから昨日借りたというDVD……あるか?」
「え?家だけど……」
「そうか……」
一目見てわかるくらい、ガックリと肩を落とす天道響。……もしかして、この世界の『仮面ライダーカブト』が観たいのか?
「い、一応動画サイトで1話と2話が無料だけど……」
「本当かッ!?」
先程までのクールな態度は何処へやら。
分かりやすくテンションが跳ね上がった天道響の顔は、やっぱり響は響なんだと実感できる程に嬉しそうだ。
……あまりにもテンションが上がると、距離が近くなる癖を含めて。
「ちょっと天道なわたし!また距離が近いよ!!」
「あ……すまない……」
自分でも無意識だったらしく、響に割り込まれ、バツの悪そうな顔で数歩引く天道響。ここまでのめり込んでしまう辺り、相当天道に惚れ込んでいるんだろうな……。
ああ、だからあれほどの天道っぷりなのに、「まだ程遠い」なんて言ってるのか。
でも……事情は分からないとはいえ、常に自分ではない誰かをなぞる必要はないと思う。
彼女も、生きていた世界とは違う場所に来た今くらいは、息抜きとして自分らしい時間を過ごしてもいいのではないだろうか?
だったら、その方法の最適解はこれしかあるまい。
「取り敢えず、レクリエーションルームにでも行く?壁掛けテレビあるし、スマホ繋いで大画面で見た方がいいだろ?」
「そうと決まれば善は急げだ!ネイティブが動き出す前に観終えるぞ!」
「うおおっ!?ちょっ
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