番外記録(メモリア)・あの日、喪ったもの(セレナ・カデンツァヴナ・イヴ誕生祭2019)
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方法が……」
マリアの寝顔を見ながら、ツェルトは静かにそう言った。
当然、マリアは眠り続けている。ただの独り言だ。
「マリィ……いや、マリア……。この計画において君は、一番辛い立場になっちまった。きっと君は、何度も涙を隠さなくちゃいけない。俺にだって、弱い所を見せないようにするんだろうな……。でも、君だけに辛い思いをさせやしない。俺はセレナを甦らせる事で、君の顔を上げさせてやる」
信号が赤から青に変わる。ツェルトは再び前を向くと、ハンドルを握り直してアクセルを踏んだ。
砕けた月が浮かぶ夜空、八方を都市の明かりに照らされた道路を、車は二人の帰るべき場所へ向かって進んでいく。
もう、その日は目前まで迫って来ている。天より迫る災厄から、多くの人々を救う計画。『フロンティア計画』を実行に移すため……正義のために、悪を貫かなければならなくなる日が……。
2043年 7月〇日
『肉体に異常なし。保存状態、良好。コールドカプセル、稼動状況よし。経過6年にもなって、未だ彼女を治療する術がないのはとても心苦しい。上層部や研究者の多くは、彼女やレセプターチルドレンの子達を道具のように見ているようだが、私は違う。プロフェッサーや彼女の姉がずっと、彼女が目を覚ます日を待ち望んでいるように、私も彼女の目覚めを信じて研究を続けている。そういえば、極東に伝わる伝承の中に気になる記述があった。もしも、この聖遺物が実在するならば或いは……。後日、ドクターウェルに話を持ちかけてみようと思う。天才である彼の見解を求めたい』
──F.I.S.研究員の手記
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