番外記録(メモリア)・あの日、喪ったもの(セレナ・カデンツァヴナ・イヴ誕生祭2019)
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がら、先輩スタッフへと質問した。
「先輩、マリアさんとマネージャー……どんな関係なんですか?」
「何でも、同じ施設で育った幼馴染らしい。彼もマリアと同じく、マネージャーとしては新人なのだが、その割にはとても手際が良くてね。将来有望だよ、あの二人は」
「へぇ……そりゃあ勝てないわけだ。まさに彼女のナイト……ですね」
「邪魔する奴は片っ端から、『馬に蹴られてGo to hell』だな」
「なんです、それ?」
「日本では、カップルの間に割って入ったら馬に蹴り殺されるらしい」
「ええ!?こ、ここが日本じゃなくてよかった……」
新人へと軽いジョークを飛ばしながら、先輩スタッフは大声で笑っていた。
「姉さん?もういい?」
「いいわよ、セレナ」
セレナは目隠しを取ると、目の前のテーブルに置かれていたものを見て驚いた。
それは、バケツを使って型を取った特大サイズのプリン。この日の為に、何度も練習を重ねて完成させた逸品だ。
「姉さん、これは!?」
「セレナ──」
私の声に合わせてツェルト、調、切歌の三人がパーティークラッカーを鳴らして言った。
「「「「お誕生日、おめでとう!」」」なのデース!」
私たちを見て、セレナは更に驚いた顔で私たちを見回した。
「月読さん、暁さん、それにツェルト兄さんまで!?」
ツェルトがクラッカーのテープを片付け始め、その間に私はセレナに説明する。
「セレナ、いつだったか言ってたでしょ?大きなプリンが食べたいって。マムに頼んで、材料と道具を用意してもらったの」
「マリアとツェルトが、頑張って作ったんだよ。わたしも、ちょっとだけ手伝ったんだ」
「味見担当はアタシがやったのデース!だから、味は保証するのデース!」
自信満々にサムズアップする切歌に、皆から笑いが零れる。
ツェルトは紙テープとクラッカーをゴミ袋に纏めると、私の隣に並んだ。
「さあセレナ、好きなだけ食べるといい。俺達からの、とびっきりのプレゼントだ!」
「姉さん、みなさん……ありがとうございます!わたし、とっても嬉しいですっ!」
セレナが満面の笑みを浮かべ、私に抱き着く。
隣のツェルトは、そんなセレナを見て微笑んでいた。
「お礼なら、私よりもツェルトに言うべきよ。私は提案して手伝っただけで、マムに話を持ちかけてくれたのも、プリンの作り方を調べて来てくれたのも、ツェルトがやってくれたんだから」
「でも、私の夢を叶えたいって言い出してくれたのは、マリア姉さんなんでしょう?だから、まずは誰よりもマリア姉さんに。ありがとう!」
「セレナ……ふふっ、どういたしまして」
互いに微笑みを交わすと、私を離れたセレナはツェルトの方を向いた。
「ツェルト兄さん。マリア姉さんを手伝ってくれて
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