見習い騎士は儚き未来に思いを馳せる
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「小日向さん……悩み事、あるんだよね?」
「……どうして、そう思うの?」
「小日向さんの顔、どう見ても大丈夫そうじゃないから……」
「え……あ……」
「──僕でよければ、相談に乗るよ。何が出来るかは分からないけど、それでも、僕に出来る範囲の事はする。だから……だから、その……えっと……」
肝心なところで良い言葉が浮かばず、詰まってしまう恭一郎。
どう締めればいいのかと考えを巡らせれば巡らせるほど、しどろもどろになるばかりだ。
その様子を見て、少しずつ未来の表情が変わり始める。
下がっていた口元が徐々に緩み、やがてその顔に笑顔が浮かんだ。
「ぷっ……ふふっ、ありがとう」
「え……?」
「加賀美くん見てると、何だか可笑しくって」
「そっ、そんなに……?」
頼りない姿を見せてしまった、と肩を落とす恭一郎。
しかし、未来はそんな彼に優しく微笑む。
「でも、ちょっとだけ元気出た。だから、ありがとう」
「……い、いや……大したことは……」
照れ臭そうに頭の後ろを?く恭一郎の顔は、茹でダコのように真っ赤になっていた。
しかしその顔は真っ赤な夕陽に照らされており、未来は恭一郎の表情には気が付かない。
そんな二人の様子を、友人六人は一旦口を閉じて、静かに見守っていた。
「ねえ、もしかしてカガミンって……」
「あー……こりゃ間違いねぇな……」
「だよね?」
「そうだな」
「これはどう見ても……」
「今頃気付いたの?」
それぞれ、顔を見合わせる創世、紅介。恭一郎と未来を交互に指さす弓美と、頷く飛鳥。その予感に口元を緩ませる詩織と、一同を見て不思議そうに首を傾げる流星。
今はまだ、届かない想い。だけどいつか、少年が勇気を胸に一歩踏み出せば……或いは、未来がもう少し彼に意識を向けるようになれば、きっと……。
(今のままじゃダメだ……。もっと、もっと頼れる男にならないと……!未来さんに振り向いてもらえる、理想のナイトになるんだ……ッ!)
少年の胸に灯る決意。彼が歩む理想への道のりは、ここから始まる──。
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