立花響バースデースペシャル
雨の上がった世界
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に、この場に多くの人々が集まっていた。
「わたし……そうだ、忘れてた……。今日、わたしの誕生日なんだ……」
響の顔に、自然と笑みが浮かんだ。
皆が自分の誕生日を覚えていてくれた。その事実が、彼女にはとても嬉しかったのだ。
「ああ、それからもう1人」
翔がそう言ったのと、響の背後からその人物が忍び寄って来たのは同時だった。
「ひ〜びきっ♪」
「ッ!未来……!?」
こっそり忍び寄り、背中に飛び付いてきた未来に、驚いて振り返る響。
その表情を見て、未来は満足気に微笑んだ。
「響の誕生日パーティーするって聞いたから、来ちゃった」
「折角のお祝いなんだから、皆で過ごしたいでしょ?」
「未来……翔……みんな……」
響の目元が潤む。こんなにも彼女は、多くの人々に愛されているのだ。
それを実感した彼女は、感極まってその両腕を広げ、翔と未来を抱き締める。
「……ありがとう……本当に、嬉しい……ッ!」
「響……」
「響さん……」
「わたし……今、とっても幸せ……」
翔と未来は顔を見合わせると、2人で響を抱き返す。
3人で抱き合う姿に、翼は微笑みながら声をかけた。
「ほら、早くしないと冷めちゃうわよ!」
「はーい!ほら、響さん。行こう!」
「響、一緒に食べよっ!」
「うん……!」
翔と未来に手を引かれ、響はテーブルへと向かっていく。
「ところで弦十郎くん、折角のパーティーなんだし、ワインとかないのかしら〜?」
「今日の主役は子供たちだぞ、了子くん」
「も〜、冗談よっ♪」
紙コップを片手に、たわいもない会話を続ける弦十郎と了子。
「翼さん、どうぞ」
「緒川さん、ありがとうございます。飲み物は代わりに私が。何がいいですか?」
「そうですね。では……」
翼の健康管理にも気を使った量を配膳し、翼の元へと持って行く緒川と、そんな緒川にもパーティー楽しんでもらおうと気を回す翼。
「藤尭くん、そろそろ交代よ」
「ありがとうございます、友里さん。それじゃ、食べ終わったらまた交代ですね」
配膳役をローテーションし、互いに他の職員達を気遣いつつ、自分達も楽しんでいる藤尭、友里らを始めとした職員達。
そして、同じテーブルに座り、共に料理に舌づつみを打つ響、翔、そして未来。
3人の表情は……いや、この場にいる全員の表情は、笑顔一色に染まっていた。
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