立花響バースデースペシャル
雨の上がった世界
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ここまでしろとは……」
「満足するまで可愛がって欲しい。そう言ったのは響さんじゃないか」
「そ、それは……そう、だけど……」
耳まで赤くなった顔を隠すように、翔の胸へと顔をくっつける。
顔から火が出そうなくらい恥ずかしかったけど、どこか安心でき、心が満たされていくのを感じながら、口元を緩ませた響は心の中で呟いた。
(もう、二度と……離れてやるもんか……!)
・ハッピーサプライズバースデー
「もうしばらくだからね、響さん」
「なっ、何なの……?」
その日、響はアイマスクで目隠しをされ、翔に手を引かれていた。
ちなみに、目的地は伝えられていない。何があるのか分からないまま、ちょっとだけ不安な気持ちで翔の手をぎゅっと握っている。
「手すりに掴まって。ちょっと揺れるから」
翔がちゃんと、手すりを掴ませてくれる。
手が離れた事で少しだけ不安が膨らむけど、隣には翔の気配がする。
やがて、扉が閉じる音と共に、降下していく感覚が身体に伝わった。
(二課へのエレベーター……?わざわざ目隠しまでして、いったい何が……)
やがて、エレベーターは二課へと辿り着く。
そのままエレベーターを降りると、翔は再び響の手を引いて……やがて足を止めた。
「響さん、アイマスク外していいよ」
翔にそう言われて、響はアイマスクを外した。
「それで、目隠しなんてしたのは、いったいどうい……」
次の瞬間、クラッカーの破裂音と共に、紙吹雪と紙テープが舞う。
驚く響に翔と、それから弦十郎以下二課の職員一同が声を揃えて言った。
「お誕生日おめでとう!」
「え……?誕生日……?」
「そう。今日は響さんの誕生日、でしょ?」
きょとん、とする響に翔が微笑みかける。
「今日の為に、朝から皆で準備していたんだぞ」
「もう、弦十郎くんったら張り切っちゃって〜。集合予定時間より1時間も早くから準備してたのよ〜」
宴会用のシルクハットを被った弦十郎に、呆れたような顔をしつつも楽しげにな了子。
「提案したのは翔くんなんだけどね。響ちゃんを喜ばせる、最高のサプライズにしようって」
クラッカーを片付けながら、翔を見て微笑む友里。
「パーティー料理は全て、響さんの好きなもので揃えていますよ」
「好きなだけおかわりしていいよ。ケーキも含めて、その為に腕を奮ったからね!」
皿に被せていたクロッシュを開け、配膳の用意を進める緒川と藤尭。
「何をぼうっと突っ立っているの?今日の主役はあなたなのよ。シャキッとしなさいよ」
そして、喋り方をいつもの防人口調から、柔らかい女性口調へと崩した翼。
響の誕生日を祝う為
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