立花響バースデースペシャル
雨の上がった世界
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てくる。
「……翔は、わたしの……だから……。たとえ、相手が翼さんでも……渡せない……」
そう言って立花は、より一層自身と翔を密着させる。
具体的には、翔の腕を……その……お、押し当てているというか……挟んでいる、というか……。かっ、絡み付いている……そう言うべき状態だった。
「ッ!なっ、ななななな何をしているお前達ッ!」
思わずソファーを立ち上がり、二人を指さす。いや、流石にこれはいかんだろう!?嫁入り前の娘が何をやっている!
「ひ、響さん……!?あの、何か当たって……」
「……当ててんの……バカ……」
「なッ!?なんのつもりの当てこすりッ!?」
立花のやつ、意外に独占欲強いぞ!?
普通姉を前にここまでするか!?いや、しないだろう!!
このままではこの2人、いずれ一線を越えてしまうのも時間の問題なのでは……?
止めなければ……。姉として、防人としてッ!弟が道を踏み外す事は防がねばッ!
「ええい立花!翔から離れろ、近過ぎる!」
同じソファーに座る二人の間に割って入る事は出来ない。私は翔の右腕を掴むと、そのまま引っ張った。
「渡さない……!翔はわたしのだ……!」
だが立花も負けじと翔にしがみつく。くっ、強情な!
「あいだだだだだだ!痛い!姉さん!響さん!痛いってば!」
「翔、すまないがもう暫く堪えてくれッ!」
「我慢して……。翔は……わたしが……ッ!」
両腕を引っ張られ、翔が悲鳴を上げる。
ここは耐えてくれ、翔!これもお前の為だ!
「な……なんでさぁぁぁぁぁッ!」
休日の職員寮に、翔の悲鳴が轟いていたが、今日も二課は平和であった。
・わたしの、わたしだけの……
「……」
響は今、ムスッとした表情でその光景を見ていた。
視線の先には、同年代くらいの見知らぬ少女──おそらく通行人だろう──に話しかけられている翔がいる。
一見、道を聞いているだけなのだが、響はその少女の様子に不信感を抱いていた。
あれは道を聞いていると見せかけて、翔を狙って逆ナンを仕掛けていると響は判断していた。
道を聞くだけにしては長い……。というか、なぜスマホを使わない?
翔の親切心を弄び、誘惑を仕掛ける逆ナン女に対して、響は苛立ちを募らせる。
溜め息をひとつ吐くと、響はズカズカと足音を立てながら翔の隣へと歩み寄った。
「だから〜、分からないから連れてって欲しいんだってば〜」
「さっきも言ったけど、僕は連れを待ってるんだって……」
翔も相手が逆ナンを仕掛けていることに気が付いているようで、少し困った顔をしている。
響は翔の腕を掴むと、逆ナン女の顔を思いっきり睨み
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